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社説

増税延期と日銀 共に「ふかす」つもりか

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 安倍晋三首相は消費増税の再延期を表明した記者会見で、「アベノミクスのエンジンを最大にふかす」と強調した。「『三本の矢』をもう一度、力いっぱい放つ」とも述べた。

     増税の先送りや景気を刺激する歳出拡大は2本目の矢の財政政策にあたる。会見では、1本目の矢である日銀の金融政策に直接言及しなかったが、「あらゆる政策を総動員」となれば、日銀の追加緩和に対しても政治からの要求が強まってくる恐れがあり、気がかりだ。

     アベノミクスのエンジンを当初からフル稼働で支えてきたのが、日銀の異次元緩和だった。円安を後押しし、企業収益や株価の大幅上昇につながったが、行き詰まりが明らかになっていた。

     そこで今度は財政の出力を上げようという作戦らしい。ただ、金融政策は打ち止め、という話では必ずしもなさそうだ。

     首相に近い本田悦朗内閣官房参与は米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」に対し、「6月あたりに追加緩和をやったらどうか」と述べ、現在年間80兆円のペースで保有残高が増えるよう日銀が購入している国債などの資産を、100兆円増まで拡大することを提案した。

     本田氏は「アベノミクスの『バージョンアップ』を演出するため」の追加緩和と話している。だが、日銀が国債購入を増やす中で、政府が財源の裏付けのない歳出を膨らませれば、日銀が事実上の財源の役目を負わされることになる。

     そうした事態を回避するため、日銀と政府の間に約束があった。2013年1月の「共同声明」だ。

     日銀が年2%のインフレ目標設定を受け入れる代わりに、政府が財政健全化と構造改革に取り組むことを文書に盛り込んだのだった。

     だが、日銀が目標を目指して、追加の量的緩和やマイナス金利政策を実施した一方、政府は財政を悪化させる消費増税延期を2度も決めた。

     日銀はこうした政府の約束軽視に目をつぶり、追加の金融緩和で、終わりなき財政拡大の片棒を担ぎ続けるのだろうか。それとも、2%の短期達成にこだわらない柔軟な政策へと転換し、量的緩和の段階的な縮小を目指してカジを切るのか。

     首相は「新しい判断」で増税を先送りした。日銀も「新しい判断」で「転換」を選択する好機だろう。

     前者、つまり政府と一緒になって政策を「ふかす」道を選べば、日銀は中央銀行としての独立性を完全に失いかねない。インフレが進み政策を引き締めたくなっても、制御不能となろう。政府の「打ち出の小づち」と化すことの危うさを、日銀は強く認識しておくべきだ。

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