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社説

甘利氏不起訴 処罰できぬ法の限界だ

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 甘利明前経済再生担当相をめぐる口利きと現金授受問題で、東京地検特捜部が甘利氏と元秘書2人について立件を見送った。

     あっせん利得処罰法違反と政治資金規正法違反の容疑で告発されていたが、容疑不十分で不起訴とした。納得し難い結論だ。

     都市再生機構(UR)との補償交渉に絡み、甘利事務所は千葉県内の建設会社側から口利きの依頼を受け、元秘書はUR側に「甘利事務所の顔を立ててほしい」と公然と求め、10回以上面談を繰り返した。

     最終的に補償は上積みされ、約2億2000万円が支払われた。

     一方、甘利氏と元秘書は計600万円の現金を受け取った。元秘書は1000万円以上の接待も受けた。

     有力政治家の威光を背景にした典型的な口利きの構図だ。

     あっせん利得処罰法を適用する場合、「権限に基づく影響力の行使」が要件になる。具体的には、甘利氏側が国会質問で取り上げることをほのめかしてUR側に圧力を加えることなどが求められるという。検察はそうした証拠はなかったとした。

     だが、検察の見解に対し、あっせん利得処罰法の適用を限定的に解釈しすぎているとの意見が専門家から出ている。高額の接待が不問に付されたことを含め、刑事処分の内容を疑問に思う人は少なくないだろう。

     不起訴処分に対して、告発していた市民団体代表らが、検察審査会へ審査を申し立てた。市民の目から処分の妥当性を点検してほしい。

     あっせん利得処罰法は2001年に施行された。元建設相の受託収賄事件をきっかけに、政治家が口利きによって報酬を得ることに国民の批判が強まったからだ。刑法のあっせん収賄罪は、公務員に不正行為をさせたり、正当な行為をさせなかったりすることを要件とするが、あっせん利得処罰法は正当な行為をさせても処罰対象になる。また、その対象は政治家や秘書だ。まさに今回のような口利きを罰するための法律だ。

     だが、立法当初から、「権限に基づく影響力の行使」のハードルは高すぎるといわれた。これまで国会議員や秘書が適用された例はない。通常の政治活動を萎縮させないための要件とはいえ、見直しが必要だ。

     甘利氏の元秘書らは、有力政治家の権限をかさに着た。こうしたことを罰する実効的な条文に国会は改めてほしい。このままでは政治不信は深まるばかりだ。

     刑事責任とは別に、甘利氏には重い道義的責任と国民への説明責任が残る。だが、約束した疑惑の調査を公表するめどは立っていない。真摯(しんし)な調査と丁寧な説明こそ政務復帰より先に取り組むべきことだ。

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