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名作の現場

第15回 開高健『日本三文オペラ』 案内人・島田雅彦(その1)

小説「日本三文オペラ」に登場する新世界に立つ作家の島田雅彦さん。奥は通天閣=大阪市浪速区で、三浦博之撮影

 兵器工場の跡地で鉄材を盗む集団を描く開高健(かいこうたけし)『日本三文オペラ』。痛快で、悲しみも満ちる。その舞台を作家の島田雅彦さんが訪ね、現代に接続してもらった。

敗戦後「兵どもの夢の跡」

 『日本三文オペラ』の冒頭で開高健が列挙法と饒舌(じょうぜつ)体を駆使して活写したのは、戦後のどさくさが残る新世界界隈(かいわい)だったが、この魔窟を久しぶりに歩いてみると、私が初めて訪れた一九八二年頃にはどの通りにもあふれていた猥雑(わいざつ)さ、生活臭、場末感などがいくらか薄まり、人工的なけばけばしさが増し、テーマパーク化が進んでいた。もともと明治期にパリを模した博覧会都市として設計され、通天閣や動物園、美術館のある西の浅草ともいうべき娯楽の殿堂だった頃に回帰した感もある。その後、空襲で焼かれ、闇市へと移ろった新世界には明治から現代にいたるまでの都市の諸相が刻まれている。

 空腹を抱えて「ジャンジャン横町」をうろつくフクスケがモツ丼一杯でスカウトされ、旧大阪砲兵工廠に埋も…

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