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増税先送りの明暗

先送り経済/下 成長戦略不十分、不透明感拭えず消費低迷

限界が見え始めたアベノミクス

 東京都練馬区の食品スーパー「アキダイ関町本店」。安売りで知られるこの店は、安倍晋三首相が消費税増税の再延期を表明した1日も、特売品の野菜を求める買い物客でにぎわっていた。近所に住む40代の主婦は、「夫の給料が増えないのに増税は困る。ありがたい」と表情を緩めた。

     同店の客数は、2014年に消費税率が8%に引き上げられて以降、約2割増えた。秋葉弘道社長は「増税に食品の値上がりが重なり、生活防衛に走るお客さんが多い」と話す。

     安値で消費者を引きつけるアキダイに対し、百貨店は訪日外国人の需要を除けば力強さに欠ける。三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長は「一般の人の所得はそれほど増えていない。消費者は本当に必要なもの以外買わなくなってきている」と指摘、日本経済はデフレの影を引きずる。

     「アベノミクスは順調に結果を出しているが、世界経済が不透明感を増している」。1日の記者会見で、再延期の理由をこう語った首相だが、日本の成長率は米欧と比べても低い。内需が盛り上がらず、外的なショックに弱い体質が残っているからだ。

     アベノミクスは、金融緩和、財政政策、成長戦略の「三本の矢」のうち、最初の2本で景気を下支えする間に、3本目の成長戦略で経済の実力を高める戦略だった。確かに金融緩和で円安・株高が進み、政府の景気対策もあって企業業績は急回復した。雇用や賃金が改善し、消費や投資に波及する好循環が実現しつつあるかに見えた。

     しかし、消費税率8%への引き上げに加え、円安による食品などの値上がりが消費を抑え込み、家計の消費支出はうるう年の影響を除くと4月まで8カ月連続で前年割れ。麻生太郎財務相は「雇用が増えたのに消費が改善しない」と首をかしげる。堅調だった設備投資も、1〜3月期は前期比横ばいに鈍化しそうだ。日本経済の実力はゼロ成長に近い。

     金融緩和の効果が息切れし、円高が進むと、かさ上げされていた企業業績も潮目が変わる。トヨタ自動車の豊田章男社長は「ここ数年は(円安の)追い風による『参考記録』の部分が多かった」と述べ、今年度は減益を予想。日立製作所の東原敏昭社長は「設備投資をしても本当に輸出が伸びるのか、急な為替変動があったときに大丈夫か、という先行きの不透明感がある」と漏らした。

     「成長しない国内に投資はできない」。化学メーカー幹部は断言し、政府の成長戦略への失望感を強める。法人税減税などは実現したが、賃金を時間でなく成果で決める労働基準法改正案や、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)関連法案など反対が強い政策では足踏み。前進に向けて首相が指導力を発揮する場面は少なく、1日に閉会した通常国会での成立を逃した。

     成長戦略の仕切り直しを迫られた政府は、子育てや介護への支援を厚くする方針だ。経済官庁幹部は「働きたくても働けない人々を労働市場に呼び戻し、少子化に歯止めをかけて経済の実力を高める」と話すが、成果はすぐには出ない。

     しかし、残された時間は少ない。日本経済は25年に一つの分岐点を迎える。「団塊の世代」がすべて75歳以上の後期高齢者になるからだ。厚生労働省によると、医療や年金、介護などの社会保障給付額は25年度に約149兆円に達し、12年度から約40兆円も増える。

     内閣府幹部は「国民の将来不安が払拭(ふっしょく)されず、貯蓄に回っている」と消費低迷の背景を分析する。経済の実力を高めると同時に、社会保障制度を盤石にすることが、経済の好循環を回す前提だ。首相は当面の景気下支えを優先して増税を先送りしたことで、構造改革や社会保障の財源を不安定にさせるリスクも背負った。その判断は正しかったのか。日本経済に悠長に構える余裕はない。

          ◇

     この連載は、小倉祥徳、中島和哉、小川祐希(経済部)、阿部亮介(医療福祉部)が担当しました。

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