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松原隆一郎・評 『ガルブレイス−アメリカ資本主義との格闘』=伊東光晴・著

 (岩波新書・864円)

 経済学者が同業者の伝記を書くとして、さしあたり二つの方法があると思う。一つは正確かつ詳細に対象者の論文とそれらへの評価をまとめるもの。これは、学術的ではあっても概して無味乾燥になる。

 もう一つは、対象者から学びみずからの血肉とした指針をクローズアップするもの。本書はこちらで、共感を込めてガルブレイスを紹介するとともに、そのアメリカ資本主義分析を、著者がみずから行った日本経済論を引きつつ解説する。ガルブレイスの墓前に報告するかのような自著の引用は感銘を誘う。著者がガルブレイスに学んだのは何よりもファクト・ファインディング、事実をもって先入観を覆しつつ理論を組み立てる態度なのであろう。

 伊東氏は同じ岩波新書の『ケインズ』ではイギリス社会を論じ、『シュンペーター』(共著)ではドイツ国家を描いたが、本作では市場原理主義化に搦(から)め捕られるアメリカ文明を腑(ふ)分けする。御年88歳、4年前に倒れ心肺停止を体験した方の作とは信じられぬほどの気迫が文章に漲(みなぎ)っている。

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