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社説

里親制度 社会に根付かせたい

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 子供を育てるのは親の責任である。しかし、親が育てられない場合、その子供はどうなるのか。

     虐待や予期しない妊娠などの理由で親と一緒に暮らせない子供は現在約3万9000人いる。ほとんどは児童養護施設や乳児院などで集団生活をしている。プライバシーのない環境でストレスにさらされている子供は多い。

     先の国会で成立した改正児童福祉法では、親が養育できない場合は施設ではなく、里親などを優先し、特に就学前の幼い子は原則として「家庭養育」することが明記された。実親との関係を戸籍上抹消する特別養子縁組についても利用促進に向けて制度改正に取り組むこととなった。

     わが国の児童福祉の歴史からすれば画期的な転換である。法律上の親権を持たず、都道府県からの委託で子供を育てるのが里親だ。成り手を増やし、社会全体で保護の必要な子を守る文化を育てたい。

     戦災孤児の施設収容を目的に児童福祉法は1947年に制定された。施設関連の予算は低く抑えられ、子供が健全に育つ権利について顧みられることはあまりなかった。

     近年になって児童虐待は急増し、傷ついた子供たちで満杯状態の施設は多い。施設で育った子の大学や高校の進学率は一般に比べて著しく低い。賃金の低い非正規雇用の仕事しか見つからず、貧困の連鎖に陥っているのが実情なのだ。

     先進諸国を見ると、保護の必要な子は里親など家庭的な環境で育てるのが一般的で、里親への委託率が15%しかない日本は特殊な存在だ。

     日本でも50年代には里親が8000人以上いたが、80年代になると3分の1以下に落ち込んだ。原則として専業主婦家庭で、自宅もある程度の広さがあることなど、審査は厳しい。国からの生活費の補助は少なく、経済的余裕がないと里親にはなれないのだ。

     政府は保護の必要な子の受け皿として、里親・グループホーム・施設を3分の1ずつにすることを打ち出している。里親になるための条件も緩和する傾向にあり、少しずつ成り手は増えている。

     自治体間の格差は大きい。委託率が1桁の自治体は多いが、新潟県は44%を超え、福岡市や大分県もこの10年で3倍以上となった。児童相談所に専任職員を配置したり、支援機関の充実、NPOと連携した広報に取り組んだりしている点が共通している。

     虐待でトラウマを抱えた子や発達障害児など養育が難しい子供は増えている。経済的援助とともに相談体制や心理面などの専門的な支援も手厚くし、里親制度を社会に根付かせていくべきだ。

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