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ウィーン・フォルクスオーパー《メリー・ウィドウ》 洒脱な笑いの文化=評・梅津時比古

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 日本でも恒常的にオペラを見られるようになったが、ことオペレッタとなると別である。日常、楽しもうにも公演はほとんどない。ウィーン・フォルクスオーパーの9度目となる来日公演は、音楽的な機知、良質のエロチシズム、皮肉、笑いの文化が私たちの身の回りに少ないことを改めて実感させた。今回の《チャルダーシュの女王》《こうもり》《メリー・ウィドウ》は定番中の定番。所見(5月27日、東京文化会館)の《メリー・ウィドウ》も、登場人物の動作に至るまで従来とあまり変わらない。しかし今も新しい。

 《メリー・ウィドウ》はダニロとハンナのちょっと複雑な恋の物語。それを主軸に、おそらくヴィーダーマイヤー期以来のウィーン上流社会の常であろう恋の相関図がおもしろおかしく描かれる。若くして銀行家の夫を亡くしたハンナに転がり込む膨大な資産を流出させないため外国人との再婚を阻止しようと、祖国(ファーターラント)が動くこっけいさに、このオペレッタにおける政治批判の牙が隠されている。ハンナを自国人と再婚させ…

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