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武田 砂鉄・評『1974年のサマークリスマス』柳澤健・著

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己の信じることを貫く 愛すべき青臭さ

◆『1974年のサマークリスマス 林美雄とパックインミュージックの時代』柳澤健・著(集英社/税抜き1600円)

 若者は、知らないものをそっと教えてくれる大人を探すし、自分たちにだけ偏愛を押しつけてくれる大人を信奉する。いつの時代でも若者が深夜ラジオにすがるのは、「オレはこう思う」のあとに「キミはどう思う」を用意しながら、思いっきり体を投げ出してくれるからだろう。

 「昨日でも今日でもない時間」にTBSラジオで放送されていた「パックインミュージック」。午前3時から放送される第2部を1970年に久米宏から引き継いだのが林美雄(よしお)だ。「いいものはいい」を唯一の基準とし、メディアにまだ取り上げられていなかった荒井由実をかけ、黒澤映画ではなくロマンポルノを語り、ゲストに小田実(まこと)を招いてベトナム戦争の後方支援に励む日本を問うた。若者たちは、その純粋な“偏…

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