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 フランス革命の年である1789年、江戸では老中松平定信の著書「鸚鵡言(おうむのことば)」をからかったかのような出版物が刊行された。恋川春町「鸚鵡返文武二道(おうむがえしぶんぶのふたみち)」である。ジャンルは黄表紙。全ページが絵で構成されている、いわば漫画だ。菅原道真の生きた時代を設定してはいるが、明らかに「今」を描いていた。なぜなら定信が著書の中で政策の実行をたこ揚げにたとえたくだりを使い、定信の政策とその著書の効果は所詮、人々がたこ揚げに夢中になったことだけだった、とのパロディーに仕上げたのである。

 定信は恋川春町こと駿河小島藩士倉橋格を呼び出し、倉橋はそれに応じなかったが、まもなく亡くなった。武士が漫画のようなものを描いて出版できる時代だった。それどころか、天才的な武士階級の著者たちが江戸の出版界を切りひらいていた。しかし江戸時代には「武家諸法度」がある。身内である武士に対して、最も管理が厳しい時代だったのだ。出版には、武士だからこそのリスクが潜んでいたのである。

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