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平松 洋子・評『漂流の島 江戸時代の鳥島漂流民たちを追う』高橋大輔・著

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江戸時代、絶海の孤島のなかで命をつないだ男たちがいた

◆『漂流の島 江戸時代の鳥島漂流民たちを追う』高橋大輔・著(草思社/税抜き1800円)

 探検家、高橋大輔の新作をずっと待ってきた。

 2005年、アメリカのナショナル・ジオグラフィック協会の支援を受け、ロビンソン・クルーソーのモデルになった船乗り、A・セルカークの住居跡を発見して世界的な注目を集めた。彼の血を新たに滾(たぎ)らせるのは何だろうと思うと湧き立ち、同時に、果たしてこの現代に本来の探検の可能性は残されているのか、一抹の不安がよぎるのも事実だった。

 しかし、本作『漂流の島』の衝撃と興奮はどうだ。綿密な調査によって明るみにされる、江戸時代の漂流民たちの凄絶(せいぜつ)な生。それだけではない。さらに本書を特別なものにしているのは、探検という困難な行為を通じて著者が辿(たど)り着くひとつの境地だ。探検の道のりはもちろん、心の揺れや迷い、不安や苛(いら)立ちまで、一部始終が詳細かつ誠実に描かれ、分厚い読みごたえがある。

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