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サンデー毎日発

2018年、2020年に「大波」到来 少子化、入試改革、定員管理…大学が変わる!

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 大学経営にまつわるマイナス要因として、18歳人口が減少期に入る「2018年問題」が取りざたされてきたが、ここにきて「2020年問題」が浮上してきた。これは大学だけに関係する話ではない。それぞれの問題に対応するための改革は、受験生に直接影響しそうだ。

 大学を取り巻く環境が厳しさを増している。その一つは少子化による受験生の減少だ。私立大にとって、収入の大半を占める学費を確保するため、定員割れは避けたい。さらに、私立・国公立を問わず、就職力や研究力を高めて大学間の競争力をつけるために、優秀な学生の確保が求められている。

 その意味で、目前に迫っているのが「2018年問題」。18歳人口は、戦後2度目のピークである1992年の205万人から減少が続いてきたが、2008年以降は120万人前後で安定期に入っていた。それが18年以降、再び減少局面に入り、31年には100万人を下回ると見られている。

 優秀な学生を獲得するためには、多くの志願者群からの選抜が必須条件。そのために改革を進める大学は少なくない。関東、関西の主要私立大の志願者数推移を振り返ると、志願者が増える局面では、入試方式や学部の改革を行っている。

 来春の動きを見ると、今春の志願者数が大学史上初の10万人超えとなった法政大が、国際文化学部、文学部の英文と心理学科、現代福祉学部、デザイン工学部の建築学科でセンター利用入試を実施する。また、慶應義塾大や早稲田大、立教大は、受験生の利便性を高めるため、来春からインターネット出願を導入する。この3大学以外にも、国立の東京芸術大、京都大、九州大、九州工業大など。私立では北里大、東京女子大、日本女子大などがインターネットでの出願や入学手続きが可能になる。

 「ネット出願が一般的になり、導入が志願者の大幅増には結びつきませんが、願書を手書きしなくて済むなど、受験生のメリットは大きい」(予備校関係者)

 学部新設を進める大学も多い。社会から人材養成を求められている分野の学部は、受験生の注目度が高い学部でもある。そうした学部の新設は、社会的な期待に応えるのと同時に、志願者獲得の後押しともなる。これまで学部改革をほとんど行ってこなかった国立大も、昨年あたりから積極的に動くようになった。河合塾教育情報部長の富沢弘和さんは言う。

 「国立大学改革プランにより、文部科学省からミッションの再定義を求められた国立大は、教育学部の再編など、多くの大学で学部の新設や改編が進んでいます」

 難関国立大も例外ではなく、名古屋大は工学部の5学科を7学科に細分化した上で、学部と大学院との連携を強化する。さらに、情報系人材の育成を強化するため、情報文化を情報に改組する。情報系学部では、私立大の東洋大も情報連携を新設予定だ。

 神戸大は国際文化と発達科学を統合して、海外留学や体験学習が必須の国際人間科を新設。グローバル社会で起こりうる、災害や民族対立、経済格差などの課題を解決し、グローバル共生社会の実現に貢献できる人材養成を行う。

 国立大の人文社会科学系の不要論が巻き起こったのは昨年6月。そうした動きを受け、教育学部の教員免許取得を主としない、いわゆるゼロ免系を整理する大学には、茨城大、横浜国立大、新潟大、熊本大、琉球大などがある。

 私立大では、東洋大が三つの学部を新設する。一つは前出の情報連携。来春開設する赤羽台キャンパス(東京都北区)に設置されることもあり、初年度から高い人気になりそうだ。残る二つは、国際と国際観光といったグローバル系。14年にスーパーグローバル大学に採択された東洋大は、世界で活躍できる人材養成を強化する。

私立大の公立大化も中身の変化は乏しい

 理系学部では、芝浦工業大が建築を新設する。建築系は、都市の再開発や東京五輪・パラリンピックの開催に伴う競技場の建設などにより人気が高い。東京都心に近い江東区の豊洲キャンパスに設置されることもあり、受験生の注目度が高そうだ。東京農業大はバイオサイエンス、分子生命化、分子微生物の3学科からなる生命科学部を新設する。

 西日本では、南山大の総合政策が愛知県瀬戸市の瀬戸キャンパスから、名古屋市内の名古屋キャンパスに移転する。同キャンパスには国際教養が新設予定だ。名城大は都市情報と人間の2学部を今春開設したナゴヤドーム前キャンパスに移転。大阪工業大は、大阪都心の大阪市北区に梅田キャンパスを開設し、ロボティクス&デザイン工を新設する。

 「南山大、名城大、大阪工業大の3校は、立地条件に恵まれたキャンパスにおいて学部の新設や移転を行うので、いずれの大学も受験生の注目度が高そうです」(河合塾の富沢さん)

 私立大をまるごと公立大化する動きもある。今春は福知山公立大と山口東京理科大が私立大から公立大になり、多くの志願者が集まった。来春は長野大が公立化する予定だ。代々木ゼミナール教育総合研究所の主幹研究員、坂口幸世さんは、こう話す。

 「授業料が安くなることもあり、公立化は多くの志願者が集まります。ただ、教職員はほとんどそのままに公立化する大学が大半です。大学の教育・研究内容は私立大当時と大きく変わらないことを念頭に、大学選びをするべきです」

 さて、これまでは、ここまで見てきたさまざまな改革で18年問題を乗り切ればよかったが、14年以降、高大接続改革による「2020年問題」が浮上してきた。この改革により、志願者を増やして入学者を確保するだけではなく、各大学にフィットする学生の選抜が求められることになるのだ。

 これからの大学入試は、「ディプロマポリシー」で卒業生像を示し、その養成のための「カリキュラムポリシー」を策定し、さらに、そうした大学教育にふさわしい学生を入学させるための「アドミッションポリシー」を明確にした上での選抜になる。各大学はこの三つのポリシーを整備し、ふさわしい学生の選抜が求められており、ただ志願者を集めるだけでは済まされないのだ。20年以降の入試では、学力に加えて思考力や判断力、さらに、クラブやボランティアなどの活動歴や留学経験などを総合的、多面的に評価する、丁寧な選抜が求められているのだ。

 そうした流れはすでに始まっている。3ポリシーにのっとった丁寧な選抜には、推薦やAO入試がなじむ。国立大学協会はこの方式の募集定員を3割まで増やすとしている。今春は東大が推薦入試を実施し、京大が推薦やAO入試などで選抜する特色入試を実施した。推薦やAO入試の利用法について、代ゼミの坂口さんが説明する。

 「大学が求める出願要件に合致しているなら、推薦やAO入試を活用してもいいでしょう。ただ、受験勉強の真っただ中に、留学や課外活動など、出願資格の取得に時間を割くのは、一般入試に響くのでやめた方がよさそうです」

 来年は、大阪大が推薦やAO入試で、能力、意欲、適性を多面的・総合的に評価する「世界適塾入試」を実施する。これに伴い、同大の後期の定員が完全になくなる。その影響は神戸大など周辺の後期を実施している大学の出願状況に表れそうなので注意が必要だ。難関大では、現時点でも推薦やAO入試の定員が多い東北大が、国際バカロレア入試とグローバル入試を導入する。さらに、千葉大・国際教養やお茶の水女子大、熊本大などでAO入試が実施される。

英語外部試験対策は今からではマイナス

 グローバル化が加速する中、英語の運用能力を問う英語外部試験を活用した入試も、新しい入試の先行実施といえそうだ。一般入試での英語外部試験の活用は、15年に上智大がTEAP(アカデミック英語能力判定試験)利用型入試で先鞭(せんべん)をつけた。今春入試では、東京海洋大や、立教大、南山大、関西学院大などが利用している。河合塾の富沢さんは言う。

 「これから英語外部試験の対策を始めるのは受験勉強を進める上でマイナス要因になります。スコア保持者もしくは、英語外部試験の受験に向けた準備が進んでいる受験生なら、検討の余地ありです」

 来春は一般入試で英語外部試験を活用する大学がさらに増える。早稲田大は文化構想と文で導入する。MARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)は、今春から文や地球社会共生などで英語外部試験を取り入れた青山学院大が、新たに国際政治経済や経済(B方式)、経営(C方式)の一部の学科で実施するなど、全ての大学がいずれかの学部(学科)で英語外部試験を活用する入試を実施する。

 関関同立(関西大、関西学院大、同志社大、立命館大)では、同志社大を除く3大学が一般入試で英語外部試験を活用した入試を実施。関関同立に次ぐ大学では、龍谷大が英語外部試験で一定以上の資格・スコアをクリアしていれば、英語を満点に換算して合否を判定する、センター試験利用前期を導入し、甲南大も英語外部試験の活用入試を始める。

 18年問題や20年問題の他にも、大都市圏の収容定員が8000人以上の私立大は、定員管理の厳格化の問題を抱えている。これまでこれらの大学は、定員の1・2倍を超えると補助金全額カットの対象だったが、上限は段階的に引き下げられ、19年には1・0倍になるのだ。今春の上限は1・17倍だったが、入学者数を抑えるため合格者数を減らす大学が多かった。上限が1・14倍になる来年は、さらに合格者数が減り、受験生にとっては難化が懸念されるが、大学によっては極端に合格者が減らない可能性がある。

 「定員厳格化が行われても、これまでの入学者数を維持したい大学は、入学定員増を申請しています。定員が増える大学は、倍率がそれほど上がらないかもしれません」(代ゼミの坂口さん)

 来年は青山学院大や東京理科大、立命館大、近畿大など多くの大学が定員を増やす。一方、定員が据え置きの大学はさらなる難化が予想される。

 18歳人口の減少や入試環境の変化などにより、有名大から一般的な大学まで改革待ったなし。入試方式、学部改組、定員増など改革が目白押しの入試を乗り切るには、これまで以上に迅速かつ正確な情報収集が求められよう。【大学通信・井沢秀】

*週刊「サンデー毎日」6月19日号より転載。実際の誌面では、来春の入試で学部学科を改組したり、入試を変更する主な大学をまとめた表があります、こちらは、実際の誌面で確認してください。

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