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◆重量挙げ、初めて自分で選んだ道
衝突、失敗、銀メダル
東京都北区にある味の素ナショナルトレーニングセンターが重量挙げ女子48キロ級、三宅宏実(30)の練習拠点だ。バーベルを持つ三宅の傍らで、監督の父義行さん(70)が見守る。
「今の高さならいい」「挙げた時の今の位置は良かったよ」。義行さんの視線は、正面や横からフォームを確認するビデオ映像と三宅の姿を交互に捉えていた。褒められた三宅だが、納得がいかないのか表情はさえない。「まだ出来に波がある」。義行さんは窓外に目をやりながら声を掛けた。「天気だって良い時も悪い時もある。(波があるのは)しょうがないんだよ」
8月5日のリオデジャネイロ五輪開幕が近づき、選手の気は張り詰める。自信は揺らぎ、練習でも本番同様に重いバーベルを挙げて不安を払いたがる。しかし、それをしてしまうと、試合前に体調のピークが来る。「重量挙げは試合に合わせて筋肉をつくっていく競技」と義行さんは言う。三宅は自分が納得するまで突き詰めて練習するタイプで、けがのリスクもつきまとう。オーバーワークにならないようセーブするのが義行さんの役目だ。…
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