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岩間陽子・評 『高坂正堯と戦後日本』=五百旗頭真、中西寛・編

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五百旗頭(いおきべ)真、中西寛・編

 (中央公論新社・2160円)

没後二〇年に思い返す柔らかな知性

 高坂正堯(こうさかまさたか)先生が亡くなって二〇年が経(た)つという。考えてみれば当たり前である。阪神淡路大震災の翌年であった。あの時、まだ乳飲み子だった長女が、成人式を迎えた。

 「先生と過ごした時間は今も私の脳裏に焼きついている。その濃密さに比べれば、その後の二〇年間は知的な意味では一瞬であったようにすら感じられる」という、中西寛氏のはしがきの言葉は、評者を含め高坂先生の教えを受けた者が等しく共有する思いだろう。

 「なんで高坂正堯の弟子は、みんな高坂ファンなんかなあ。僕なんか自分の師匠をちっともいいと思わんけどなあ」と、某東大系の先生に言われたことがある。この本は、高坂ファンが集って書いた、高坂正堯論である。直接先生の教えを受けた者もいれば、主として文章を通じて先生のファンになった者もいる。みんなして、高坂正堯という巨大な知性を、あっちからこっちから、撫(な)でまわしている感じである。

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