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これは、大仏写真家である半田カメラが、一般的に知名度は低いが素晴らしい!という国内の異空間スポットを、勝手に日本ワタシ遺産に登録、紹介するという、とても個人的で偏った企画です。
日本第2位の大きさ 悲しき観音像
あまりに大仏が好き過ぎて、大仏写真家などという肩書を名乗るまでになった私が、大仏にハマるキッカケとなったのは、日本一大きな大仏、牛久大仏との出会いでした。周囲ののどかな風景の中、圧倒的な存在感でそびえる姿に、完全にヤラレてしまったのです。
すると次に気になってくるのが、2番目に大きな大仏の存在ですよね。牛久大仏が日本最大の120㍍、では日本第2位の大仏は?と言いますと、宮城県の仙台大観音、そして兵庫県の悲しき観音像、淡路島世界平和大観音、この両観音像がともに100㍍で日本第2位の大きさです。


なぜ世界平和大観音に「悲しき」というただならぬ形容をしたのかと言うと、この観音さま、現在は廃虚と化してしまっているからなのです。
淡路島の東海岸をなぞる国道28号を走っていると、真っ白の大きなビルが見えてきます。ですが近づくと、そのビルだと思っていたものが観音像だと気付き、がくぜんとするのです。

しかもこの観音像、ルックスがなんともユルかわいい。ポーズや服のシワなども含め、ラインが直線的で微妙にカクカクしています。そしてなんと言っても、首部分にマフラーのように巻かれた展望台。これが鞭(むち)打ち時にするギプスのようだと「ムチウチ観音」とあまり有り難くない異名まであるのです。

地元淡路島出身の実業家によって、この観音さまが建てられたのは1977年。観音像内部はレストランや美術館、交通博物館もあったそうで、敷地内には今も機関車があったり、果ては自由の女神像も建っていたりと……かなりフリーダムな感じだったと推測されます。

オープン当初はそれなりににぎわっていたようですが、徐々に経営が悪化し、2006年持ち主の死去により閉館してしまいます。その後競売にかけられるも入札者はなく、現在までずっと廃虚のまま。敷地内にある高さ40㍍の十重之塔も、テッペンにある相輪がポッキリと折れ、全体も破損が激しくネットがかけられたまま放置されています。
あまりに悲しい現状です。私に宝くじが2度当たったぐらいの資金力があったならば、迷うことなく購入しているでしょう。だっていくらユルかろうが、ムチウチだろうが、100㍍もある観音像ですよ! 立派なものです。また逆にこのユルさが愛らしくて、癒やされるじゃあありませんか。

私は過去2度、入れもしないと分かっていながら、この観音さまを訪れています。それが14年8月、台風により観音像の外壁の一部が破損した!という大仏好きをさらに悲しませるニュースが入ってきました。これは居ても立っても居られないと、3度目の訪問を果たしたのが、15年の3月です。

行ってみると観音さまの左脇腹には痛々しくも数㍍四方の穴が開いており、ご近所の方の話によれば、この穴は徐々に広がってきているとのこと。海に近い場所です。一部の破損が崩壊をさらに早めるかもしれません。ご近所の方の安全のためにも解体が望まれるところです。が、解体されるということになれば、私は泣いてしまうやもしれません……いや、たぶん泣く。

実はこのような経営難により忘れ去られたり、閉鎖したりしてる(しかかっている)巨大仏像は、日本中にたくさんあります。これらの大仏を多くの人に知っていただき、参拝してもらいたい。閉鎖の危機から救いたい!というのが大仏好きの真の望みであり、目標なのです。
どうか皆さま、ぜひお近くの大仏さまに足を運んでください。「いつまでもあると思うな親と大仏」。それが私が伝えたかったことです。

半田カメラ
雑誌や広告などの撮影が本業の女性カメラマン。趣味で日本中を旅するうち異空間的風景にハマり、巨大な仏像に夢中に。とうとう大仏写真家として開眼。牛久大仏絶景写真集「牛久大仏はそこにいる。」(写真・著:半田カメラ)が牛久大仏の胎内売店、仲見世で発売中!
Website「恋する巨大仏」
http://handa-camera.wix.com/kyodaibutsu-in-love
Blog「 気になったら とりあえず行ってみるブログ」