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『ギケイキ 千年の流転』 著者・町田康さん

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町田康さん
町田康さん

 (河出書房新社・1728円)

源義経たちの抱腹絶倒の旅 町田康(まちだ・こう)さん

 身も蓋(ふた)もない。そこに大笑いさせられる。室町時代初期に成立した、悲劇のヒーロー源義経の伝記物語『義経記(ぎけいき)』(作者不詳)を骨格とする、超ドライな娯楽小説だ。まさに現代の私たちの姿が見える。「いわゆる歴史小説は、ヒューマニズムを前提としているケースが多い。僕は、人間の世には正義も悪もないと思っています。中世の人間の内面を想像しましたが、突拍子もないことは書いていません。極限状況における人間の本音、それが笑えるんだと思います」

 <「……なにが、朝廷じゃ。えらそうにすんな、アホンダラ」「仏法、なめとったらしばきあげんど」「必ず最後に愛は勝つ」><「ああざす。ああざす」「ただし、その場合はスタッフ総取っ替えで全員、流罪になりますねー。いや、もう死罪でいいかな、この際だから」「いやよー、いやよー」>。ポップだが、実は落語や浪曲に詳しいゆえのリズムだ。「前半に登場する吉次(きちじ)という商人の語りは、書いているうちに桂枝雀にな…

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