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中村桂子・評 『森を食べる植物−腐生植物の知られざる世界』=塚谷裕一・著

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 (岩波書店・2160円)

魅惑的な腐生植物は「森の結晶」

 おかしな題だ。通常植物といえば、森をつくるものであり、そもそも森という字が木でできている。おかしな存在には事欠かないのが生きものの世界だが、それにしても森を食べる植物とはどういうものなのだろう。

 答は「腐生(ふせい)植物」である。花を咲かせる被子植物なのだが、葉っぱがない。植物の象徴とも言える緑の葉を持たず、光合成しないので、何かを食べなければ生きられない。そこでこの仲間特有の暮らし方をしている。

 まず具体例をあげよう。比較的身近な腐生植物として紹介されるのがギンリョウソウ(別名ユウレイタケ)、タヌキノショクダイ、その他ランのいくつかである。身近と言っても山歩きなどの好きな方でなければあまり出会えないかもしれない。太い茎の上に、下向きに咲く透明感のある白い大きな花が一つだけついたギンリョウソウは、美しいけれどやはり奇妙だ(図鑑参照ですね。本書巻末に小図鑑あり)。彼らは、自分の根に侵入してく…

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