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感染症ならない・負けない・広げない

心の苦しみも「予防」 国立国際医療研究センター感染症対策専門職・堀成美

 「ちょっとでも、私のがんに効かないでしょうか?」とフロアの初老の男性から質問を受けたのは、今から5年前。日本でもヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンが使えるようになり、新聞やテレビでも紹介され始めた頃です。

 思春期の健康支援の仕事の中でこのワクチンについて聞かれたり説明したりする機会は多いのですが、このような質問は考えてもいませんでした。なぜなら、ワクチンは当初から子宮頸(けい)がんの「治療」ではなく「予防」のためと広報されていたからです。驚いたのと同時に、がんと告知された人やご家族が、その後の病気の進行の恐怖や不安の中で「少しでも治る可能性があるなら」と、さまざまな情報を求める切実な状況にあるのを痛感しました。

 このワクチンは子宮だけでなく、のどや肛門、性器の腫瘍やイボの原因となるウイルス感染を予防することが目的です。しかし、ワクチンがターゲットとしているHPVに既に感染し、異常が起きた細胞を元に戻す効果はありません。質問をされた男性にも、そして子宮頸がん検診で異常と診断された後にこのワクチンの相談をされる方にも、期待されるような説明をできないのが現状です。

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