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号外大崎事件、再審認めず 最高裁が初の取り消し
紙面審ダイジェスト

死刑確定の元少年 匿名の判断は

 紙面審査委員会は、編集編成局から独立した組織で、ベテラン記者5人で構成しています。読者の視点に立ち、ニュースの価値判断の妥当性や記事の正確性、分かりやすさ、見出し、レイアウト、写真の適否、文章表現や用字用語の正確性などを審査します。審査対象は、基本的に東京で発行された最終版を基にしています。指摘する内容は毎週「紙面審査週報」にまとめて社員に公開し、毎週金曜日午後、紙面製作に関わる編集編成局の全部長が集まり約1時間、指摘の内容について議論します。ご紹介するのは、その議論の一部です。

     以下に出てくる「幹事」は、部長会でその週の指摘を担当する紙面審査委員会のメンバーです。「司会」は編集編成局次長です。

    <6月24日>

    ■1面の見出しに舛添氏の言葉を

     幹事 高額の海外出張費から政治資金の公私混同まで、舛添要一前東京都知事をめぐりさまざまな問題が浮上した。「法的に問題なし」は通らず、舛添氏は6月21日付で辞職せざるを得なかった。政治資金の不正流用疑惑の説明はないままだった。各紙16日朝刊は、舛添氏の辞職願が15日午後の都議会本会議で全会一致で同意されたことを伝えた。1面の見出しを見てみよう。

    ▽毎日<舛添都知事 辞職/「会見なし」核心語らず/政治資金問題で引責>

    ▽朝日<舛添氏「自らの不徳」/都知事21日付辞職/政治資金問題「都政停滞」/退任あいさつ 疑惑の説明なし>

    ▽読売<舛添知事の辞職同意/都議会 知事選 7月31日有力/「私が身を引くのが一番」>

    ▽東京<2代続け「カネ」で引責/舛添知事 辞職/20日集中審議中止 疑惑棚上げ>

    ▽日経<舛添知事 辞職決定/「心残りの念尽きぬ」/与野党、後任選び急ぐ>

    ▽産経<舛添都知事 辞職/「全て自らの不徳」/政治資金問題で引責>

     14日ぐらいから辞職に向けてカウントダウン状態だったため、各紙1面見出しの変化を工夫したようだ。舛添氏が15日の都議会でどのような辞職のあいさつをするのか、何を理由にするのかは知りたいところだった。1面見出しに、舛添氏が議会で語った「不徳の致すところ」とか「身を引くのが一番」といった言葉があったほうがよかった。

     司会 見出しについて情報編成総センター(見出し・扱いなどの編集担当)。

     編集部長 辞職の理由について本人のあいさつから取るのが順当だと思って見出しを検討した。しかし、月並みなことしか言わず、挙げるとしたら朝日や読売が取っている、「身を引くのが一番」とか「不徳の致すところ」ぐらいしかない。一夜にして辞職に至った本当の理由は、表向きの言葉通りではないはず。記事に書けない何らかの圧力があって最終的に辞職を判断したと思われるので、表向きの言葉から見出しを取っても本当ではないと考えた。ずっと追及されてきたのに会見を開かないので、社会部と相談し、<「会見なし」核心語らず>にした。

     司会 出稿部の社会部。

     社会部長 辞任の弁は大切だと思うが、編集部長が説明したように、舛添知事の辞め際の悪さに当日の編集会議でもかなり批判が出た。出来の悪いアルバイトが辞めるみたいに、「もう明日から出てこないよ」と何も言わないでいなくなるというような。こういう態度に批判が強いので、そこを見出しで強調した。

    ■死刑確定の元少年 匿名の判断は

     幹事 宮城県石巻市で2010年2月、元交際相手の姉ら3人を殺傷したなどとして殺人罪などに問われた当時18歳の元少年(24)の上告審判決で、最高裁第1小法廷は6月16日、死刑とした1、2審を支持し、元少年の上告を棄却した。裁判員裁判で少年事件に死刑を適用した判決が初めて確定する。この元少年について、本紙はこれまでと同じく匿名報道を選択した。17日朝刊1面に[おことわり]を載せ、「少年法の理念を尊重し匿名で報道するという原則を変更すべきでないと判断しました」「少年法は少年の更生を目的としています。死刑確定でその可能性がなくなるとの見方もありますが(中略)元少年には今後も更生に向け事件を悔い、被害者・遺族に心から謝罪する姿勢が求められます。また今後、再審や恩赦が認められる可能性が全くないとは言い切れません」と説明した。他紙で匿名にしたのは東京のみ。朝日、読売、日経、産経は実名を出した。他紙は[おことわり]で「死刑が確定すれば、更生(社会復帰)の機会はなくなる一方、国家が人の命を奪う死刑の対象が誰なのかは重大な社会的関心事となります」(読売)などと説明していた。

     紙面審査委員会の議論では、本紙の匿名報道が妥当だという意見で一致した。1994年の連続リンチ殺人事件、99年の山口県光市・母子殺害事件と同じ扱いだが、今回の判断について改めて確認したい。

     司会 これは議論してきたことだが、社会部から説明を。

     社会部長 少年の死刑確定で[おことわり]を載せるのは3回目だが、過去2回と状況が変わっていないので、継続性を重視した。死刑が決まっているのに匿名を維持する必要があるか、被害者の実名は出ているのに被疑者がずっと匿名なのはどうなのかという意見もある。本紙としてこれまで報道してきた方針を変える理由がないと判断したが、今後も匿名を続けなければいけないというものではないと思う。

     幹事 個別ケースごとに考えているのか。

     社会部長 そうだ。過去には永山則夫死刑囚は実名で報道したし、少年が凶悪事件を起こして逃走した場合は実名に切り替えたケースもある。一律に決めないほうがいいと考えている。

     幹事 例えば読売の[おことわり]には「国家が人の命を奪う死刑の対象が誰なのかは重大な社会的関心事となります。このため16日の判決から、被告を実名で報道します」とある。この判断をどう思うか。

     社会部長 現段階では本紙の[おことわり]に書いたように恩赦の可能性もある。死刑執行までは罪を償うという、更生の努力をしてほしいという思いも込めて匿名を続けている。

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