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社説

改憲派に勢い 最後まで「議論抜き」か

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 参院選をめぐる報道各社の終盤情勢調査によると、自民党を中心とする改憲勢力が非改選の議員と合わせ、参院で3分の2以上の議席確保をうかがう勢いとなっている。

     現憲法の施行後初めて、改正案発議が可能な国会の勢力構図となることが現実味を帯びている。にもかかわらず憲法をめぐる議論はほとんど行われておらず、有権者の関心も呼び起こせていない。

     安倍晋三首相は自らの在任中の憲法改正に意欲を示している。仮に参院選で必要な議席を得れば、具体的な手続きに入る可能性が高い。

     憲法96条は憲法改正の手続きとして、衆参両院の3分の2以上で改正案を発議し、国民投票で過半数の賛成を得ることが必要だと定める。

     衆院はすでに与党だけで3分の2以上を占める。参院選で改憲勢力4党で74人以上が当選すれば、非改選と合わせ参院での発議に必要な162議席以上を得る。

     本来は選挙期間中、憲法改正の是非をめぐり徹底的な議論が求められる。ところが、与党は「アベノミクスの是非を問う」一本やりで意識的に争点化を避けている。改憲をめぐる議論は事実上、封印されている。

     一番、不可解なのは改憲を主導する首相の沈黙だ。首相は「(憲法の)条文をどう変えるかを決めるのは選挙ではなく、国民投票だ」と語っている。具体的にどんなテーマで改憲を目指しているのかは示されず、街頭演説でも憲法改正にはほとんど触れていない。

     自民党の姿勢に影響しているとみられるのが世論の動向だ。時事通信の世論調査によると、改憲勢力が3分の2の議席を確保することに「反対」(49・6%)が「賛成」(31・5%)を大きく上回っている。選挙に不利だから正面から提起せず、必要な議席数だけ得ようというのでは筋が通らない。

     首相はネット動画の党首討論などで「どの条文を変えていくか、次の国会から憲法審査会を動かして議論を進めたい」と述べている。

     首相が言うように、改憲案を具体的に議論する際は、衆参両院の憲法審査会が舞台となる。審査会の構成は各会派の勢力に応じて決まる。だからこそ、国政選挙の結果は改憲の動向を大きく左右する。

     確かに憲法改正には国民投票による承認が必要だ。だが、それは最後の確認手続きだ。国会で議論する代表を選ぶ選挙の段階でこそ国民に開かれた議論を十分重ね、丁寧な合意形成を図る必要がある。

     今からでも遅くはない。首相は具体的に憲法のどの条項を改めようとしているのか、投票を前にきちんと有権者に説明すべきだ。

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