
すべての人が輝く「ニッポン1億総活躍社会」。安倍政権が掲げるスローガンだ。だが、そのかけ声とは裏腹に、所得階層の格差は拡大し、子供や女性の貧困が社会問題化している。高齢者と若者、大都市と地方、正規雇用と非正規雇用……。社会の分断線は枚挙にいとまがない。解消の道筋はどこにあるのか。
「脱成長依存」の格差是正を 井手英策・慶応大教授
日本はもはや格差大国である。1990年代半ばと比べると、共働き世帯数は2割近く増えたが、世帯所得は2割以上落ち込み、200万円以下の世帯が全体の2割を超える。特に中間層は所得低下が目立ち、低所得層に流れ込みつつある。所得だけではない。世代間、地域間、正規・非正規労働者間など、数限りない分断線が社会に刻み込まれている。
この記事は有料記事です。
残り4176文字(全文4501文字)