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本村凌二・評 『環境文明論−新たな世界史像』=安田喜憲・著

 (論創社・5184円)

 文明は文字とともに始まる。この常套句(じょうとうく)も昨今では通用しなくなったらしい。考古学の蓄積は文字の彼方(かなた)にある文明の足跡をも浮び上らせる。

 一九五二年、敗戦から立ち直りつつある日本で今西錦司隊長の率いるマナスル遠征隊が組織された。カトマンズ盆地を見下ろす丘の上から、この地の森の生態系は中国の長江流域を通って、日本列島にまで連なっているという発見が生まれる。この発見は後に「照葉樹林文化」論として世に出ることになる。

 その背景には「共通の森の生態系に同質の文化がある」という考え方があり、「森林環境文明論」の烽火(ほうか)であった。「人間が文化をつくる」と考える欧米人には発想できないことだった。

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