「おやっさんの味を自然と受け継いでいるんでしょうね。その味がずっと『スタンダード』だったんですから」。蔵元杜氏(とうじ)の増本庄治さん(46)が言った。
「おやっさん」とは増本藤兵衛酒造場で約40年もの間、杜氏を務めた坂頭宝一(さかがしらほういち)さん(86)のこと。能登杜氏の中でも最年長クラスで、後半生は増本で「薄桜(うすさくら)」を醸し続けた。純米吟醸原酒が2007年に「滋賀地酒の祭典」のファン投票で初代の県知事賞(第1位)に輝くなど評価は高い。また、中澤酒造(東近江市)の「一博」の「一」は、蔵元が酒造りを教えてくれた坂頭さんの名から1文字もらったもの。近江の地酒業界に残した足跡は小さくない。
増本さんはそんな名杜氏の後を継いだ。五代目の蔵元になるのは既定路線だったが、「社会を見たい」とコンピューター関連の会社でサラリーマンを経験。退職して1990年代半ば、島根県の池月酒造で1シーズン、蔵人として学んだ。翌年度(醸造年度は7月から翌年6月)の11月から3月には東広島市の国税庁醸造研究所(現・独立行政法人酒類総合研究所)に在籍したが、「まだ何も身についていない」と感じて研修生として残り、…
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