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東京 和のたくみ

 最新のファッションやサブカルチャー、IT(情報技術)、超高層のオフィスビル群など、東京にはさまざまな顔があるが、江戸の昔から脈々と続く「職人の町」もその一つだろう。道具をつくり、素材を整え、ゆっくりした時間のなかで日々、手を動かしている職人たち。技術革新や大量生産で安価な製品が増えたり、生活様式が変わって使われなくなったりして、昔ながらの手仕事は縮小の一途だが、後継者問題に頭を悩ませながらも、職人たちは新たな道を模索している。一方で、手仕事のぬくもりにひかれて路地裏の工房を訪ね歩く若者や海外からの観光客が増えるなど、その魅力が再発見され始めてもいる。東京の伝統工芸の職人を訪ね、匠(たくみ)の技を紹介する。

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(4)畳職人――金井功さん 糸一本にこだわる

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 厚さ5、6センチの畳を縫っていく手の動きは意外に速い。畳職人の金井功さん(40)は、鉄板入りの「手あて」をはめた右の手のひらを使い、長さ15センチほどの畳針を畳床(土台)に通していく。左手をセンサーのように使って畳床のわずかな凹凸を探り、右手で糸の強さなどを案配するため、機械で縫うより糸が緩まない。手縫いを極めれば、100年たっても型崩れしない畳ができるという。

 畳は、稲わらを敷き詰めた畳床を、い草を織った「畳表(たたみおもて)」で覆い、布製の「へり」を縫い付けて作る。畳表はい草農家が、土台は米農家から買った稲わらで畳床屋が作り、へりを含めたこれら三つの素材を組み合わせて仕上げるのが畳職人の仕事だ。

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