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社説

最低賃金増 「1億総活躍」の土台に

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 中央最低賃金審議会の議論が大詰めを迎えている。今月末には今年度の改定の目安が決まる予定だ。

 「1億総活躍プラン」は最低賃金を毎年3%ずつ上げ、2020年には全国平均で時給1000円(現在は798円)にするという。安倍晋三首相も経済財政諮問会議で「3%増に最大限の努力を」と促した。

 非正規社員の待遇改善を含めた働き方改革は「1億総活躍プラン」の最優先課題であり、安倍政権の本気度が試される。

 現在の水準で3%は24円に相当する。昨年は2・3%(18円)で、実現すれば過去最大の伸びになる。最も影響を受ける中小企業などは反発するが、現在の水準が低すぎるのだ。日本弁護士連合会は50円引き上げを提案している。

 アベノミクスで失業率が改善されたと安倍首相は強調するが、増えているのは最低賃金に近い報酬の非正規社員である。経済的理由で結婚や出産をあきらめるという若者は多い。最低賃金の引き上げは、社会的格差を縮め、消費を喚起するほか、少子化対策にも効果が期待される。

 経済協力開発機構によると、日本の最低賃金はフランスやオーストラリアの6〜7割の水準にとどまっている。それだけ取り組みが遅れてきたことを政府は自覚すべきだ。

 働き方改革の本丸と目されているのが「同一労働同一賃金」である。非正規社員が正社員と同じ内容の仕事をしている場合、賃金を正社員に近い額まで引き上げることが期待されている。待遇改善が進めば、残業や出張のない非正規の働き方を選ぶ人は増えるだろう。生活を重視するワーク・ライフ・バランスの実現に貢献し、介護や出産を理由に離職する人を減らすことにもつながる。

 現在、具体的な制度設計について検討されているが、経営者側の本音は正社員の賃金を下げて非正規との格差を縮めることだ。制度設計次第で正反対の結果を招く可能性もある。最低賃金の水準を上げることが本来目指すべき改革の実現に向けた一定の担保にもなるはずだ。

 そのためには、サービス産業などをはじめとして雇用現場の生産性を高めていく必要がある。下請けに対する報酬支払いの適正化を進めるなどして中小企業を支援することも必要になるだろう。

 最近の春闘では安倍首相ら閣僚が賃上げを促す発言を繰り返し、毎年ベアが実施されている。ただ、民間企業で働く人の賃金は労使交渉に委ねるのが筋であり、政府が本来取り組むべきことは、法律に基づき政府が金額を決める最低賃金の改善だ。

 最低賃金の引き上げは、働き方改革を支える土台と心得るべきだ。

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