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今週の本棚

池澤夏樹・評 『鏡のなかのボードレール』=くぼたのぞみ著

 (共和国・2160円)

言語性差を越える優雅なエセー

 試論という本来の意味での、エレガントなエセーである。

 わずか二百ページほどのうちに時代を渡り、大陸を渡り、いくつもの言語を越え、男性と女性の間の淵(ふち)をも突破する。論旨が次々に流れてゆくところが読んでいて心地よい。

 始まりは、優れた翻訳者である著者が、かつて訳したクッツェーの小説の舞台になった南アフリカを訪れたこと。そこでたまたまコンスタンシアというワイナリーに寄った。この名、どこかで覚えている、と思ったら、かつて好きで訳した「されど満たされぬまま」というボードレールの詩の一節だった。

 若かった詩人はジャンヌ・デュヴァルという女に会って恋仲になり、彼女を讃(たた)える詩をたくさん書い…

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