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平松 洋子・評『a day in the life』安西水丸・著

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生きるも滅びるもない場所に棲んでいたのかもしれない

◆『a day in the life』安西水丸・著(風土社/税抜き1800円)

 今ごろになって、寂しさが押し寄せている。安西水丸さんの急逝は2014年3月、おかしな言い方だが、ようやく寂しい。

 二年と少し、ぽかんとしたままだったのかもしれない。あまりにも突然の出来事だったから、現実をまるごと受け容れるほかなかった。つねづね、絵葉書(はがき)みたいに固定された人物風景ではなく、目前をさっと通り過ぎる「車窓の人」でありたいと仰(おつしや)っていたから、その通りのさよならだと納得することで気持ちを紛らわしていた。

 しかし、じわじわやってきた寂しさの波は、そのぶん大きい。安西さんの不在は誰にも埋められない。その当たり前の事実がこれほどの空虚を孕(はら)んでいたと思い知り、呆然(ぼうぜん)としている。

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