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鬼平を歩く

江戸・東京今昔/38 大川の隠居 小網町 盗みは「武家」から /東京

小網町児童遊園(後方)の手前の道路に思案橋があった

 「武家屋敷の中は警戒が緩い。女性が暮らす奥向き、長局(ながつぼね)は男子禁制で盗みは容易。万一見つかっても逃げやすい」。江戸で最も有名な盗賊の一人、鼠小僧(ねずみこぞう)次郎吉(1797〜1832年)は自白調書「鼠賊白状記」で大名や旗本屋敷を専門に盗みに入った理由を明かしている。侵入した武家屋敷は98カ所、被害金額は3121両。1両10万円として3億1210万円。

 鼠小僧が刑死して15年後の1847年、武家屋敷専門の盗賊、市之助という男が捕まり処刑された。鼠小僧にあこがれ、市之助は小鼠小僧を自称した。「武士はお上から禄(ろく)をもらっているから、家財を盗まれても食いはぐれない。だが町人は盗難にあえば一家は路頭に迷う。盗みに入るのは武家屋敷に限る」。町奉行所の尋問に対して市之助は盗みの哲学を披露した。

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