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葛西「奇跡マグロ」の偉業に万感の飼育係

「奇跡のマグロ」が死んだ翌日の大水槽。新入りのクロマグロたちもすっかり大きくなった=東京都江戸川区の葛西臨海水族園で3日、中嶋真希撮影

 東京都江戸川区の葛西臨海水族園で2日、大量死から唯一生き残ったクロマグロが死んだ。「奇跡のマグロ」と呼ばれ、人気を集めた1匹だ。担当者は、この奇跡のマグロに「展示を継続させる橋渡しをしてくれた」と感謝する。1匹のマグロが成した偉業とは。【中嶋真希】

葛西臨海水族園で最後まで生き残った大きなクロマグロ(中央)。子供たちの注目を集めていた=2015年11月2日、中嶋真希撮影

 クロマグロが悠々と泳ぐ大水槽は、同園の目玉だ。ところが2014年12月から15年1月にかけて、水槽の魚たちが相次いで大量に死んだ。約160匹いた魚たちは15年1月に3匹まで減り、3月には1匹になった。その生き残りが「奇跡のマグロ」だ。

 奇跡の1匹が死んだ翌日、同園を訪れた。水槽には昨年3月から今年6月にかけて投入されたクロマグロ98匹、スマ35匹、ハガツオ11匹、マンボウ1匹が泳いでいた。昨年11月に訪れた時は、生き残ったクロマグロがひときわ大きく、まるでほかの魚たちを率いる親分のようだったが、今では新入りたちもすっかり成長していた。

 死んだ「親分」は体長145センチ、新入りで一番大きいのは体長120センチほど。飼育展示課教育普及係の多田諭主任(55)は、「最近では、ぱっと見では『あれ、どこだ?』とわからなくなるくらいだった」と振り返る。

奇跡のマグロがいなかったら…

 多田さんはどのマグロも同等に扱ってきたつもりだが、「それでも生き残ったマグロには特別な思いがある」という。もしマグロが全滅してしまっていたら、マグロの展示を継続することも危なかったかもしれないからだ。「途切れることなく展示ができたのは、あのマグロのおかげ。感謝している。ありがとう」と頭を下げる。

 マグロの死を無駄にしないためにも、原因追究は続く。今回、奇跡のマグロが死んだのは、2週間前からエサを食べなくなり、落ち着きがなくなって水槽に衝突したのが原因だが、大量死は、細菌などの感染▽水槽の壁面への衝突▽繁殖行動で速く泳ぐ個体がほかの魚にストレスを与えた−−など複数の要因があったとされている。まだまだ調査が必要で、「二度と同じようなことが起きないように、追究していきたい」と多田さんは語る。

「お刺し身しか見たことない」

 訪れた客に声をかけた。埼玉県から家族で初めて同園に来たという森田菜穂さん(44)は、「(生き残ったマグロは)ここの目玉だった。昨日来ていれば、見られたのに」と残念そうだ。長男の亘さん(8)は、マグロ大量死のことは知らなかったが、マグロは大の好物。「お刺し身しか知らない。こんな、ギラギラした色なんだ」と、生きたマグロを見て、興奮していた。

 そんな子供の様子に、多田さんは「マグロの力強さが伝わるのはうれしい」と話す。新入りのマグロはまだ1〜2歳だが、4歳になれば産卵が見られるかもしれない。「次を担う世代が育ってきている。マグロが群れを作り、突然速く泳ぐ姿はダイナミック。ぜひ見に来てほしい」と力を込めた。

葛西臨海水族園のレストラン「シーウインド」で食べられるマグロカツカレー。使われているのは、展示されているマグロではありません=2015年11月2日、中嶋真希撮影

 来園の際は、園内のレストラン「シーウインド」で「まぐろカツカレー」を食べることを忘れずに。展示しているクロマグロ(本マグロ)……ではなく、キハダマグロのカツが味わえる。

中嶋真希

2006年毎日新聞社入社。静岡支局、毎日小学生新聞などを経て15年10月からデジタルメディア局。東日本大震災の影響で統廃合した宮城県石巻市の小学校や、性的少数者、障害者の社会進出などについて取材を続けている。共著書に「震災以降 終わらない3・11-3年目の報告」(三一書房)がある。

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