<kin−gon>
天皇陛下が生前退位の意向を示唆されたお言葉で、強く印象づけられたのが「天皇の終焉(しゅうえん)」という表現だ。「逝去」でも、「死亡」でもない。ここには一個人の死を超えた、天皇が体現してきたシステム、体制、時代がピリオドを打つという意味が込められているように感じる。
その通りだと思うし、このことは実感として私にある。1989年は冷戦が終結した年として国際政治の世界では記憶されているが、日本にとっては昭和天皇の死(1月7日)で明け、「ベルリンの壁」の崩壊(11月9日)で暮れた一年、との印象が強い。
昭和天皇の死と冷戦終結が同じ年に重なったのはもちろん偶然だ。しかしそれを超えたところで、後から振り返ると一つの死がある時代的意味を示唆し、時代的転換の節目だったと想起されることは少なくない。またそうやって我々は、自分なりの歴史を刻んでいく。
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