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くらしナビ・気象・防災

先端技術で農地の天候把握

スマートフォンに届いたピンポイント天気予報を確認し、栽培に生かす農家=ハレックス提供

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 天候に左右されやすい農業。ITや人工衛星、ドローンといった先端技術を活用し、気象情報や農作物の生育状況をきめ細かく把握する取り組みが増えている。

 「常に自然と向き合っている農家は、自分の畑の天気予報を欲しがっている」。各地の農家に1キロ四方のピンポイント天気予報を提供しているハレックス(東京)の越智正昭社長は話す。NTTグループの気象予報会社で、2013年から提供を始めた。

ハレックスが提供する1キロ四方のピンポイント天気予報。地形や標高、風向きなども考慮して表示している=ハレックス提供

 気象庁の一般向け予報は、自治体ごとなど広いエリアが対象だ。だが、日本の農地は中山間地が4割を占め、場所が近くても、地形や標高が違うと、天候や気温も異なる場合がある。

 ハレックスの契約先に松山市近郊のキャベツ農家がある。キャベツは苗を植え付ける際、水をしっかりまくことが必要だ。水まきをしないと、うまく育たない。この農家は「松山市内は雨」というテレビの天気予報を当てにして、水まきせずに植え付けをしていた。

 ●ピンポイント予報

 だが、ピンポイント予報をみると、松山市内から約20キロ離れたこの農家の畑には、雨はほとんど降らないことが分かった。越智さんは急いで電話で連絡し、農家も水まきが間に合った。

 気象庁は、一般向けの予報とは別に、スーパーコンピューターを活用した細かな天気情報や全国840カ所のアメダスで実測した降水量も公開している。ハレックスはこうしたデータを加工し、ピンポイント予報として提供できるシステムを開発した。

 最近は、契約先の農家にスマートフォンでピンポイント予報を配信。情報は1日48回更新され、農家は自分の農地の予報をこまめに入手できるようになった。

 費用は農家1軒当たり月3000円程度だ。

 ●衛星で作物分析も

 人工衛星の画像を使う企業もある。国際宇宙ステーション「きぼう」の活動を支援している有人宇宙システム(東京)は、欧米の地球観測衛星が高精度カメラで撮影した画像から、農作物の生育状況を分析し、農家のスマホやパソコンに情報を配信するという実証実験に取り組む。山形県のコメ農家と今春から始めた。

 地球観測衛星は特殊なセンサーも搭載し、農作物に反射した赤外線の波長などの画像を公開している。有人宇宙システムは波長などを分析して、農作物に含まれるたんぱく質の量を推計する。農作物には季節ごとに最適なたんぱく質の量があり、生育状況が農地数ヘクタールごとに分かる。稲の一部だけ育ちが悪いと分かれば、その場所に水や肥料を投入できる。資金が限られる農家でも収穫量や品質の向上を図れるという。

 小型無人機「ドローン」で農作物を撮影した画像を使っているのが国立研究開発法人、農業・食品産業技術総合研究機構(茨城県つくば市)。今年度から茨城県などのコメ、小麦農家と実証実験を行っている。

 高精度カメラと特殊センサーを載せたドローンを50〜100メートル上空に10分程度飛ばせば、農地3ヘクタール程度の撮影ができる。画像は農家のスマホなどに配信する。機構は「作物が水や肥料分をどれだけ吸ったかも確認できる」と話しており、品質が重視されるブランド米の生育管理などに役立ちそうだという。

 人工衛星は空が晴れていなければ撮影できないが、ドローンなら曇り空でも可能。農家が独自に最新型のセンサーを搭載して飛ばせば、画像の精度も増す。コストを下げていくのが今後の課題だ。【寺田剛】

気象と農作物被害

 農林水産省によると、災害による全国の農作物被害額は昨年1年間で約272億円。内訳は、近畿や九州を襲った2度の台風=約123億円▽9月の関東・東北豪雨=約80億円▽大雪=約19億円。残る約50億円はこうした大規模災害以外の気象の変化によるものが多い。

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