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橋爪大三郎・評 『憲法9条とわれらが日本−未来世代へ手渡す』=大澤真幸・編著

 (筑摩選書・1620円)

 安倍政権が安保法制を成立させたので、憲法9条は台なしになった。そう思って思考停止した人びとが多いのではないか。だが、大澤真幸(まさち)氏は言う。むしろ勝負はこれからだ。憲法9条の精神を前進させ、まともな憲法とよりよい世界の平和をいまこそ構想できるはずだと。

 本書はよくある憲法本と、異次元のレヴェルにある。中島岳志、加藤典洋、井上達夫。現在望みうる最高の論客三氏を相手に、大澤氏が案内役となって、憲法9条のその先へ進む具体的なプランを論じあう。三氏ともいわゆる憲法学者でない。だからこそ語れる、もっとも本質的で深くまで届く言葉を、大澤氏が巧みに引き出していく。

 中島岳志氏は保守主義について雄弁に語りながら、「脱米入亜」を対米従属に対置する。保守主義は、復古でも反動でも、進歩礼賛でもない。人間の理性に限界をみて、伝統や暗黙知に信頼を置く考え方だ。現行の9条を放置するのは、条文と現実がどんなに乖離(かいり)してもよいと、立憲主義を放棄するのと同じ。むしろ9条に自衛隊を明記し、その任務と制約を明確にするべき。そして多様なアジアの一員として、国際平和を有効に築…

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