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武田 砂鉄・評『字幕屋の気になる日本語』太田直子・著

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考えることを放棄して言葉と世間を舐めるな

◆『字幕屋の気になる日本語』太田直子・著(新日本出版社/税抜き1700円)

 映画の字幕には、セリフ1秒につき原則4文字という制約がある。直訳すれば「もし誰かが自分の命と引き換えてでも人殺しをやる気でいるなら 決して阻止できない」となるセリフを、「命懸けで来られたら どうしようもない」と絞り込むのだ。

 映画字幕翻訳者の太田は、この制約と闘ってきた。あるシーンで「You don’t know what I’ve done.(俺が何をしてきたかお前は知るまい)」と発するのに2秒かからなかった。となれば、字幕は7文字。太田は「俺を見くびるな」と訳すが、担当者の鈍い反応を受け、字幕の出る長さを半秒ほど長くして「俺は地獄を見てきた」との訳を導いた。

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