メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

富山男前列伝(上) パワースポットで

写真・文 徳光典子

富山の“男前”は、ちょっと控えめでやわらかで、どこかフワッと明るい人が多い、と大阪出身の私は感じる。それは神々しい立山連峰の雪解け水、富山県内各地に伝説とともにある湧き水の清らかさや透明感、豊かさ、そして流れの潔さに似ている。私が今、ここで暮らしているのも何かの縁に違いない。気になる、引かれる“男前”を撮影しています。

3回シリーズ。それぞれの“男前”の魅力を輝かせる背景として、富山のパワースポットのような場所や、その人の仕事場で撮影した。

(2014年12月に日刊デジタル雑誌「毎日スポニチTAP-i」掲載。年齢は当時)


<堀岡 舜 22歳*会社員>

私のめいっ子ハルちゃんの成人式を撮影していて、仲良しグループの中にいた舜君をスカウト。礼儀正しく、素直で天真らんまん。愛されて、安心して育ったら、こんなふうになれるんだろうな。学生時代から得意なバスケで会社のチームでも活躍中、地元の運動会でもリレーのエース選手。いつも笑顔の人。撮影は元小学校校舎で、笑っていない顔も。

おわら風の盆で知られる富山市八尾町にある手すき和紙工房「桂樹舎」は、山間部にあった小学校の建物を移築したもの。1階にショップと喫茶パピルス。2階の展示室への階段は懐かしい雰囲気。

展示室前の廊下。少女漫画の1シーンみたいに。

展示室は和とモダンが調和する、なんとも心地よいすてきな空間。それもそのはず、桂樹舎を設立した吉田桂介氏は、民芸運動の柳宗悦氏や芹沢銈介氏とも親交が深かった。ここにあるものは全てが色あせない本物なのだ。


<布目 岳洋 36歳*公務員>

夫が経営する紅茶の店「アナザホリデー」にお茶を飲みに来ていて、スカウト。喫茶店での出会いなんて、逃したらもう二度と会うことがないかもしれないと、思い切って声をかけた。以来、講師を務めている「女子カメラ部」恒例の人物撮影会や私の作品展のモデルに。年齢より若く見られることは多いだろうと思うけど、時々〝幼さ〟すら感じるのはなぜかな。だれしも、年相応の職業や実生活があるはずなのに、それとは全く違う、全く関係のない自分だけのもう一つの世界があるとでもいうような。なんだか謎めいているようにも空虚感のようにもみえる。

ここの光と空気は、特別。

越中八尾の街の上に鎮座する城ケ山にある若宮八幡宮には、養蚕宮(かいこのみや)が合祀(ごうし)されている。手洗い鉢は繭の形をしており、お蚕様の口から水が出ている。本殿内の明かりには、カイコガと桑と糸巻きがデザインされているのも見どころ。

深い森に抱かれた、気持ちのいい場所。


<松本 崇 29歳*大工>

お寺のヨガ教室で知り合った。低めのいい声のせいで、落ち着いた感じの人と思われがちだ。「マントラ唱えてほしい」とよく言われるのもわかる。でも実際はびっくりするぐらい好奇心いっぱいで楽しい人。今回、日の出直後の光で撮影させてもらった。1回目の朝、白いシャツを着て森に入ってくるところ。この後、水際で撮っている時、少し違和感を覚えた。なんだろうとモヤモヤしていてひらめいて、もう1回日の出の時間にきてもらった。2回目の朝、上半身脱いでもらった。違和感はなくなった。

富山県入善町にある杉沢の沢スギ(国指定天然記念物)は、古代の森のよう。

黒部川扇状地湧水群の海岸近く。平地の湧水群に生息する唯一の沢スギ、コケ類、シダ植物、鳥が種を運び交配したたくさんの種類の桜……。湧き水がキラキラ流れるここは不思議の森だ。

2回目の朝。


徳光典子さんプロフィル

1969年大阪生まれ。コマーシャルフォトスタジオ勤務の後、フリーに。大阪・阿倍野というディープな町のアートマーケットに、フィルムカメラでモノクロポートレートを撮影、手作業で現像・プリントをする店を出したのが、初めての写真の仕事。ブライダルや出産写真、舞台などの撮影をするようになる。1999年、結婚を機に富山へ。夫が経営する紅茶の店「アナザホリデー」(富山市岩瀬)を拠点に活動。各種撮影のほか、映画館「フォルツァ総曲輪」(富山市総曲輪)の市民講座「スコーラフォルツァ」女子カメラ部講師、女性向けの町歩きやエコツアーの写真ワークショップなども開催。個展・グループ展多数。

毎日新聞のアカウント

話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. ORICON NEWS 香取慎吾、シェフ姿で料理の腕前披露 『おじゃMAP!』SPで結婚式プロデュース
  2. 都議選 安倍首相、演説に苦心 支持率急落に稲田氏失言
  3. 福岡母子3人殺害 「夫婦仲良くなかった」容疑者が供述
  4. 犯罪被害者支援フォーラム 長女を3歳で失った清水さん「苦しくとも前に進む」 佐賀 /佐賀
  5. ことば 大崎事件

編集部のオススメ記事

のマークについて

毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです

[PR]