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中村桂子・評 『ゲノム編集の衝撃』=NHK「ゲノム編集」取材班・著

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 (NHK出版・1404円)

生きものを思うがままに?

 科学を巡って「○○の衝撃」というタイトルの本は避けよう。なんとなくはたらく気持ちである。ただ「ゲノム編集」を知った時は、「衝撃」に近い強い印象を受けた。しかも研究だけでなく、応用技術に関わるので、紹介したいと考えた。

 一言で言うなら「狙った遺伝子をピンポイントで壊しはたらかなくする」だけでなく、その後へ望みの遺伝子を入れてはたらかせることもできる、従来の技術をはるかに超えた遺伝子操作である。それをなぜ「ゲノム編集」と呼ぶのか。それも含めて見ていこう。

 体内で起きるさまざまな現象の実体を知るには遺伝子(DNA)を壊して何が起きるかを見るのがよい。そこで、遺伝子のノックアウトには長い間、多くの研究者が挑戦してきた。この歴史は興味深いのだが、ここは先を急ぎ、最新技術に飛ぶ。その技術を発見したチームは、細菌の免疫のしくみを研究していた。細菌では感染に対抗する時にはたらく「クリスパー」と呼ばれるDNA配列が以前から知られていた。チームは「クリスパー」D…

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