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本村凌二・評 『アントニウスとクレオパトラ 上・下』=エイドリアン・ゴールズワーシー著

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 (白水社・各3672円)

様々な史料の解釈から事実に迫る

 男尊女卑が当たり前、男の浮気は大目に見られ、女の浮気には厳しい目が光る。そのような時代に、男と女の間に愛情が芽生えたとすれば、いかなるものであったのだろうか。

 21歳のクレオパトラが52歳のカエサルと出会ったとき、彼女はおそらく処女だったのではないか、と著者は推測する。姉弟婚の夫であるプトレマイオス13世は13歳にすぎず、しかもエジプトの覇権をめぐって対立していた。クレオパトラはなんとしてもカエサルの好意を勝ちとることに賭けていた。未熟だったろうが、聡明で美しかったから、世界の最高権力者にも抗しがたい魅力があっただろう。

 カエサルには妻がいたが、婚外交渉を気にとめることなどありえなかった。人妻をしばしば誘惑していたが、一国の女王とあれば政略上の利用価値も加味され、恋情に燃えることもあったかもしれない。二人はナイル巡航の旅に出たし、一年余りでカエサルがアレクサンドリアを去った時、クレオパトラは妊娠していた。

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