メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

飲酒影響事故

危険運転致死適用2割…立証難しく

4人が死傷した飲酒ひき逃げ現場の実況見分=北海道小樽市で2014年7月14日午後1時52分、石井諭撮影

 2015年に飲酒の影響を理由として自動車運転処罰法の危険運転致死罪が送検時に適用されたケースが、同年に発生した対人・対車両の飲酒死亡事故の約2割の18件にとどまることが毎日新聞の調べで分かった。14年5月の同法施行で危険運転致死傷罪の適用条件は緩和されたが、条文があいまいで立証が難しい状況が続いているとみられる。被害者遺族が同罪の適用を求めて訴因変更されるケースも相次ぎ、専門家から新たな法改正を求める声も出ている。

 警察庁などによると、昨年発生した全国の飲酒死亡事故は201件で、飲酒した運転手自身が死亡することが多い単独事故を除いた対人・対車両の飲酒死亡事故は99件。このうち運転手から酒気帯び運転となる呼気1リットル当たり0.15ミリグラム以上のアルコールが検出された事故は67件だった。

 法務省は「運転手から酒気帯び運転に相当するアルコールが検出されれば通常は同罪を適用できる」と説明するが、昨年の送検時に飲酒の影響を理由として危険運転致死罪が適用されたのは18件のみで、多くは自動車運転処罰法の過失致死罪(最高刑・懲役7年)などが適用されたとみられる。

 危険運転致死傷罪(最高刑・懲役20年)を巡っては、01年に刑法に新設された後「正常な運転が困難な状態」という適用条件が明確でないため、立証の難しさが課題となっていた。06年8月に福岡市で起きた3児死亡事故でも1審で適用されず、補充捜査後の2審でようやく認められた。このため適用条件緩和を求める声が出て、14年5月の自動車運転処罰法施行時に同罪を刑法から移して「正常な運転に支障が生じる恐れがある状態」(最高刑・懲役15年)を新類型として加えた。

 その後、飲酒を原因とする危険運転致死罪の適用件数は、条件緩和前の13年の10件から徐々に増えているが、依然として低迷が続いている。適用には「危険運転」を加害者が認識していたという「故意」を立証しなければならず、法務省の担当者は「酒気帯び運転でも証拠によって過失致死罪となることもあり得る」と話す。

 一方、14年7月に北海道小樽市で4人が死傷した飲酒ひき逃げ事故や15年5月に大阪市で3人が死傷した飲酒事故などでは被害者遺族が署名活動した結果、過失致死傷罪などで起訴された運転手が危険運転致死傷罪に訴因変更されており、遺族の要望で検察の判断が覆る事例が相次いでいる。

 首都大学東京の星周一郎教授(刑法)は「危険運転致死傷罪は立証が難しく、結果的に捜査機関が消極的になり、国民の常識では『危険運転』とすべきものを拾い切れていない。適用条件を広げたり、新たな中間類型を作ったりする法改正も検討すべきだ」と話した。【平川昌範、佐野格】


危険運転致死傷罪

 悪質運転による加害者への厳罰化を求める声を受け、2001年の刑法改正で新設。飲酒や薬物の影響で正常な運転が困難な状態で自動車を走行させた場合などに適用され、人を死亡させた場合は1年以上20年以下の懲役。警察庁によると、昨年は危険運転致死罪が49件、危険運転致傷罪が582件適用されている。

毎日新聞のアカウント

話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. クジラ 東京湾で目撃9件 海ほたる沖で何度もジャンプ
  2. セクハラ 「早大の渡部直己教授から」元女性院生申し立て
  3. 竜王戦 藤井七段、都成五段に勝つ 決勝T1回戦
  4. サッカー日本代表 不安定な川島 西野監督も苦言
  5. サッカー日本代表 ポーランドに勝つか引き分けで突破

編集部のオススメ記事

のマークについて

毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです

[PR]