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「残念」「信じたくない」「これからは一人一人が活躍してほしい」……。「SMAP」の解散発表には、誰もが何か言わずにはいられない。その反響の大きさは、彼らが名実ともに「国民的アイドル」であることを示している。結成から28年という年月は平成の歩みにも重なる。なぜSMAPはこれほどまで愛されたのか。コラムニストの山田美保子さんと、社会学者の太田省一さんに語ってもらった。【構成・小林祥晃】
−−「解散」発表をどう受け止めましたか。
太田さん 今年1月の「独立騒動」後に存続が決まった経緯があったので、第一報を聞いた時は信ぴょう性を疑いましたが、多くのメディアでも報じられ、驚きのあまり虚脱状態になりました。
山田さん 発表前日の昼過ぎに第一報が回ってきました。「解散はない」と信じていたので「最悪の事態になった」と言葉を失いました。
−−国民的な人気を得たのはどうしてでしょう?
太田さん 結成から3年たったデビュー当時(1991年)は歌の世界の変革期でした。「ザ・ベストテン」(TBS系)や「夜のヒットスタジオ」(フジテレビ系)などの歌番組が90年前後に相次いで終了した。ジャニーズ事務所の先輩グループ「光GENJI」まではこれらの番組に出演できましたが、SMAPには活躍の場がなかった。それで、生き残るためにバラエティー番組に活路を見いだしたと言えます。
山田さん (ジャニーズ事務所の)ジャニー喜多川社長の考えで、ザ・ドリフターズのように音楽とコントの両立を目指したという話は有名です。メンバーも必死で、それこそ石にかじりつく思いで、バラエティーで足跡を残し、トークを磨いていました。その結果、96年に現在まで続く冠番組「SMAP×SMAP」(スマスマ、フジテレビ系)が始まります。
太田さん バラエティー番組では、作られたアイドル像ではない「素」の表情を見せてくれました。いわゆる「ぶっちゃけトーク」などを通じて「格好いいけど、普通の男の子と変わらない感性もある」という親近感がファン層を広げ、今の国民的人気につながっていると思います。
山田さん ジャニーズ事務所のアイドルを親子2代で応援するファンは少なくないですが、親、子、孫と3代のファンがいるのはSMAPが初。男性ファンがいるグループの先駆けでもあります。
−−偶然ですが、SMAPの歩みは平成という時代と重なります。
太田さん 昭和の時代は「みんなで一丸となって頑張り、豊かな暮らしを手に入れよう」という共通の目標を持つことができました。ところが平成に入り、バブル崩壊を経て、そういった夢や目標を持てなくなった。それから二十数年。大きな災害も経験し、日本人は将来を見通せず、不安を抱えています。そんな中で私たちは、SMAPに自分たちの姿を重ねて応援しているという面があるのではないでしょうか。
山田さん SMAP自身も順風満帆ではありませんでした。デビューからしばらくは爆発的に売れた曲はなかった。森且行くん(現在はオートレーサーに転身)の脱退や、メンバーの不祥事など、存続の危機が何度かありましたが、メンバーはそれを乗り越えてきました。
太田さん SMAPの存在が大きく感じられたのは震災の時だと思います。阪神大震災(95年)直後、テレビ番組で「がんばりましょう」を歌った。今も「あの歌で励まされた」という声がネット上に残っています。東日本大震災直後にも、スマスマで自分たちに何ができるかを考える緊急生放送を行い、視聴者を歌で励ましました。
山田さん 今もスマスマでは番組の終わりに、東日本大震災と熊本地震への義援金を呼びかけています。被災地への社会の関心が薄れる中、あの時間帯に支援を呼びかけ続けている番組は他にありません。
太田さん 「僕らにはSMAPがついていてくれている」と励まされる面はあるのでは。自分たちにできることを考え、社会に積極的に働き掛けていく。そういう役割を初めて担ったアイドルだと思います。
山田さん 後輩アイドルもチャリティー活動に積極的に取り組んでいますが、大きなきっかけを作ったのはSMAPだと言えます。
太田さん エンターテインメントが持つ力も再確認しました。義援金だけでなく、音楽で勇気づけられたり、笑いで癒やされたりしますから。
山田さん だからこそ、2020年東京パラリンピックの「応援サポーター」の活動終了は残念で仕方がありません。
太田さん 私たちの中に「SMAPと一緒に時代を歩んでいる」という感覚があっただけに、今回は余計にショックが大きかった。
−−山田さんは「SMAPは5人がバラバラなのが魅力」と指摘しています。
山田さん 5人の個性はそれぞれ違っていて、同じタイプの人がいない。だから、私たちも「自分は〇〇君タイプかな」といった見方をすることがあるのではないでしょうか。メンバー自身もトーク番組で「5人がバラバラなのがSMAPの強み」と話しています。
太田さん 平成の日本人にとって、「理想の集団」のモデルになっている気がします。人は集団と関わらなければ生きていけませんが、多くの人が「集団に合わせて自分を犠牲にするのではなく、自分の個性や価値観を大事にしながら人生を充実させたい」と願っている。SMAPは、個人の能力を発揮しながら、グループとしても成長してきた。僕らが共感する理由は、ここにもあるのではないか。
山田さん リオデジャネイロ五輪では、私たちは日本人的なチーム力、グループ力にも感動していたのではないでしょうか。誰かのミスを別の選手がカバーしたり、体操の白井健三選手や卓球女子の伊藤美誠選手のような若い選手がムードメーカーになったり。そういう「チーム力」「グループ力」を見ると、SMAPとも重なります。
太田さん 昭和までは「集団のためには個人を犠牲にしなければならない」という価値観が強かったかもしれませんが「個人と集団は両立できる」と実証したのがSMAPと言える。
山田さん それぞれの持ち場で輝く。まさに「世界に一つだけの花」の歌詞の世界ですよね。だからこそ、SMAPはずっといてもらわないと困る存在なんです。
■人物略歴
1960年、富山県生まれ。東京大大学院博士課程単位取得満期退学。専門はテレビ文化論。著書に「紅白歌合戦と日本人」「中居正広という生き方」「芸人最強社会ニッポン」など。
■人物略歴
1957年、東京都生まれ。女性誌や週刊誌などで芸能コラムを多数執筆。ジャニーズタレントに詳しく、テレビのワイドショーではコメンテーターを務めるほか、放送作家として番組構成にも携わる。
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