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佐藤優・評 『シリコンバレーで起きている本当のこと』=宮地ゆう・著

 (朝日新聞出版・1296円)

現代アメリカ ITビジネスの光と影

 サンフランシスコとシリコンバレーの取材を丹念に行いITビジネスの光と影を描いた優れたノンフィクションだ。現代のアメリカを知るための必読書でもある。

 日本では、シリコンバレーというと、ITで成功した富裕層の街という印象が強いが、それと同時に格差を通り越した絶対的貧困現象が生じている。<それを象徴する存在がある。「ホテル22」。地元の人たちにそう呼ばれる24時間運行の路線バスだ。シリコンバレーの「企業城下町」をぬうように走る。/本当の名前は「ルート22」だが、ホームレスの人たちが乗って夜を明かすため、「ホテル22」と呼ばれるようになった>。片道約1時間半、料金は一律2ドル(約200円)のバスに宮地氏は深夜に乗って取材をする。<再び話しかけると、男性は目を閉じたまま、ぽつりぽつりと話し始めた。/67歳だという。60歳の定年まで広告向けの絵を描いていたが、退職後、定収入がなくなって家賃が払えなくなり、家を失ったと話す。/「ほぼ毎日このバスで眠っている。外で寝ていたこともあるけれど、やはり危なくて寝られない。襲われる人もいるしね。ここは暖かくて、いっとき目を閉じられる場所なんだ」/毎晩2往復。そのうちに夜が明けてくるという>。冷静な筆致だが、行間から弱者に対する温かいまなざ…

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