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内田麻理香・評 『近代科学のリロケーション−南アジアとヨーロッパにおける知の循環と構築』=カピル・ラジ著

 (名古屋大学出版会・5832円)

 科学革命以降の近代科学は純粋に西洋発か、もしくは地域の諸学問をこそ重視すべきか。この西洋と非西洋の対立という、単純な二分法から逃れた新鮮な立ち位置を示すのが本書だ。近代科学が両地域の人々の間で知の循環があり、間文化的(インターカルチュラル)な遭遇のもと生成されたという視野を提供する。つまり、事例研究を通じて近代科学を「リロケート」するという、近代科学史の新たな読み解きを示すのだ。このリロケートには近代科学の生成の場を西洋の実験室とは「別の場所に見出(みいだ)す」ことと、科学史を「読み替える」という二重の意味がある。

 本書では、十七世紀末から約三百年間の、西洋と南アジアの動的な知の生産の過程の事例研究が示される。扱う科学知は、自然科学だけでなく、法学・公共政策も含む。近年の科学史研究は、諸科学における計量的な客観性が、官僚機構の実現によって形成されたことを示してきたため、これらが入ることは根拠があるという。その意味でも法学と言語学の知識生産過程を扱った、第三章「洗練性(シビリティ)の再創造、信用の構築」は興味…

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