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社説

元慰安婦支援金 和解の思いを伝えたい

 存命の韓国人元慰安婦は、もう40人だけだ。この事業が心の傷を癒やす一助になることを願う。

     韓国の「和解・癒やし財団」が行う元慰安婦に対する支援事業の大枠が固まった。

     日韓合意があった昨年末時点で存命だった46人には1人につき1億ウォン(約900万円)程度、亡くなっていた199人の遺族には2000万ウォン(約180万円)程度ずつ支給する。元慰安婦の名誉・尊厳の回復と心の傷を癒やすための事業で、合同慰霊祭なども行われる。

     日本が拠出する10億円が原資で、医療や介護など日韓が合意した使途の範囲内で現金が支給される。財団が、一人一人の事情を聞き取って詳細な支給額を決めるという。

     日本は日韓合意の際、慰安婦問題の「責任を痛感する」と表明した。1965年の日韓請求権協定で法的には解決済みという立場で使ってきた「道義的な責任」という表現から一歩踏み込んだ。

     一方で韓国も、請求権協定では解決されていないという立場から要求してきた「法的責任」という表現へのこだわりを捨てた。双方の歩み寄りがなければ、合意は成立しなかったはずである。

     日本政府は90年代にアジア女性基金を通じて「医療・福祉支援」名目の現金支給を行っている。

     韓国で女性基金の事業を受け入れた元慰安婦に支給されたのは500万円だ。国民からの寄付を原資とする「償い金」200万円とは別に、政府資金から300万円が「医療・福祉支援」として支払われた。

     政府資金の支出は韓国と台湾、オランダ、フィリピン向けに計約7億5000万円。政府は「道義的責任を果たす事業」と位置付け、請求権と切り離した。財団を通じた現金支給はこれを踏襲したものだろう。

     日韓関係は合意を契機に改善基調にある。北朝鮮の核・ミサイル開発が進む中、両国の連携強化はきわめて重要だ。和解への動きを確かなものとしなければならない。

     韓国政府は、ソウルの日本大使館前に建つ少女像について「適切に解決されるよう努力する」と約束している。ただ、韓国世論は依然として少女像の移転に否定的だ。財団の事業を円滑に進めることで、世論の理解を得られるよう努めてほしい。

     菅義偉官房長官は10億円拠出を閣議決定した際、「資金の支出が完了すれば、日本側の責務は果たしたことになる」と述べた。

     日本は資金を出して終わりという認識なら間違っている。日本には、元慰安婦の心の傷が癒やされるよう韓国側の努力を見守る姿勢が求められている。

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