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社説

チケット高額転売 歯止めの議論が必要だ

 コンサートチケットの高額転売は、生の演奏を楽しむ機会を奪うとして音楽業界の団体が「高額転売の反対」を訴えている。中島みゆきさんや福山雅治さん、いきものがかり、嵐など116組のアーティストも賛同を表明した。

 転売によって正規価格の10倍を軽く超えることも珍しくないという。チケットを売るのは急な事情で行けなくなった個人だけではなく、業者の存在も指摘される。スポーツや演劇でも同じ問題が起き、だれもが気軽に楽しめる「機会の平等」が揺らいでいる。歯止めをかけるための議論が不可欠だ。

 業界などによると、高額の転売が目立ってきたのは、この10年くらいだ。人気のあるコンサートのチケットを人を雇って買いあさる組織的な動きもあるという。インターネットのオークションや転売専門業者のサイトを使って多額の利益を得ているとみられる。

 一方、好きなアーティストの演奏を楽しみにするファンが、通常の方法による正規の値段でのチケット入手ができず、高額なのを承知で転売チケットに頼らざるを得ない状況が生じている。ファンの経済的な負担は大きくなるうえ、取引を装った詐欺の被害も増えているようだ。

 業界も無策ではない。当初の購入者と入場者が一致することを確認するため、顔認証機器を導入したり、引換券方式での身分証提示を求めたりしている。だが、人手や時間がかかるうえ、その経費はチケットに上乗せせざるを得なくなる。

 ネットなどを監視して高額転売がはっきりした座席は無効とし、観覧できなくする主催者もいる。しかし、転売で利益を得た者ではなく、高い金を払ったファンを罰するのはおかしい。業界も、すべての席を一斉に売り出す販売方法に見直すべき点がないか、検討する必要がある。

 高額転売は犯罪にあたる「ダフ屋行為」との見方もある。だが、ダフ屋を取り締まる各都道府県の迷惑防止条例は「転売の目的で公共の場所をうろつき、人に売りつける」とあり、ネット空間は該当しない。1962年に東京都で最初の条例が生まれ、各地の条例もこれにならっており、時代の変化に対応できていないのだ。

 チケットの高額転売は海外でも問題化し、規制に乗り出すケースもあるという。そうした事例も参考にしながら、さまざまな関係者が議論を進めるべきだろう。

 アーティストたちは「音楽の未来を奪う、この問題について考えてほしい」と呼びかけている。需要があるのだから仕方ないと片付けず、芸術や娯楽を楽しむ豊かさを分かち合う方策を見いだしたい。

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