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チャスラフスカさん死去

優美な演技で魅了 不遇の時代も

東京五輪の平均台で華麗な演技を披露するチャスラフスカさん

 体操女子の1964年東京、68年メキシコ両五輪の金メダリスト、ベラ・チャスラフスカさんが30日、亡くなった。女性美を感じさせる柔らかな体の動きと、モダンジャズを思わせる大胆で力強い演技。現在のようなアクロバティックな技が主流となる以前の、美しさが観客の心をとりこにする時代を象徴する選手だった。東京五輪では、その優美な演技で「名花」とたたえられたが、50年を超える歳月を経た今もなおチャスラフスカの名が特別な響きを帯びるのは、その後の信念ある生き方も人々の心をとらえて離さなかったからだ。

     華やかだった人生が一変したのは68年。「プラハの春」で知られる母国チェコスロバキアの民主化運動を支持する「二千語宣言」に署名した。直後のメキシコ五輪では個人総合で2連覇を果たし、首都プラハに侵攻したソ連の選手を従えて表彰台の頂点に立つ姿は当時の国民に大きな勇気を与えた。種目別の表彰式ではソ連の国旗から目を背けて抗議の意を示した姿も語り草となっている。

     だが、その後は政府当局による度重なる尋問が続くなど、5年間は職にすら就くことができなかった。多くの人々が署名を撤回するなか、最後まで抵抗を続けた一人だった。その姿を知るからこそ、89年に共産党政権が崩壊し、21年間の「沈黙」を破ってプラハ市内中心部の広場で演説する彼女を国民は歓呼して迎えた。

     東京五輪の日本代表としてチャスラフスカさんと競い合い、その後も長く親交のあった小野清子さん(80)は「彼女の生き方は大きなインパクトを与えた。人を愛し、スポーツを愛し、人々のために自分自身が何をすべきか。(多くの人々の)心の中にその芽を植えてくれた」とたたえる。人生を通じて貫いたその芯の強さは、これからも国境や時代を超えて人々を魅了し続けるだろう。【田原和宏】

    「すばらしいほほ笑み、とりこに」小野清子さん

     チャスラフスカさんと同年代で活躍した日本の関係者からは、惜しむ声が相次いだ。

     日本体操協会の塚原光男副会長は「女性らしくエレガントな演技だった」とたたえつつ、「よく日本に来て、『アイ・ラブ・ジャパン。日本は第二の古里』と言ってくれた」と懐かしんだ。64年東京五輪代表の小野清子さんは人気を博した優雅な演技を振り返り、「本当に美しくて、魅力的な選手。体操そのものに非常に大きなインパクトを与えた。すばらしいほほ笑みで、日本の男性に限らず、女性もとりこになりました」と目を細めた。

     同五輪代表だった池田敬子さん(82)は「選手の時もいろいろあった。それでも真っすぐ向いて、生きたから、立派です」としみじみと話した。

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