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森村 誠一・評『モンテ・クリスト伯』『仲代達矢さんの背中を追って』

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戦争が終わって買ったのは字数の多い本ばかりだった

◆『モンテ・クリスト伯』アレクサンドル・デュマ/著(岩波文庫/税抜き860円)

◆『仲代達矢さんの背中を追って』池辺晋一郎・著(新日本出版社/税抜き1600円)

 本は私の宝物であった。父が本好きで、大人の本を十歳ごろから読んでいた。総ルビといって全頁(ページ)カナが振ってあり、何となく意味がわかった。

 戦時中、米・英・仏・中・露などの本は敵性として禁止されていた。敵性でも図書館の世界文学全集には堂々として存在し、壮大な復讐(ふくしゆう)小説『モンテ・クリスト伯』(アレクサンドル・デュマ)が好きだった。登校時身体検査があり鞄(かばん)に忍ばせていた尾崎紅葉の『金色夜叉』を見つけられ、「きさま、この非常時にオザキモミジのキンイロヨマタを読む文弱野郎」と歯が揺れるほど殴られた。本は配給、小説は戦意高…

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