演劇

九月新派特別公演 喜多村の主税、多面的な表現=評・小玉祥子

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 市川月乃助改め二代目喜多村緑郎(ろくろう)襲名披露公演。襲名演目は昼が北條秀司作の喜劇「深川年増」(大場正昭演出)。きんつば屋の入り婿の歌舞伎俳優、三十助(喜多村)は、乳飲み子のいる愛人のおきん(水谷八重子)と別れようとする。

 演劇改良運動渦中に一夫一婦を守れと言われた明治の俳優の騒動。貴婦人に化けたおきんを前にした喜多村の慌てぶりが面白く、喜劇的センスを発揮。水谷がしたたかさといちずさの両面を見せた。英(はなぶさ)太郎の嫉妬深い女房ぶりがうまい。市川猿弥が芝居者らしい調子良さを出した。

 夜が泉鏡花作「婦系図(おんなけいず)」(成瀬芳一補綴(ほてつ)・演出、大場正昭演出)。ドイツ語学者、早瀬主税(ちから)(喜多村)は元芸者のお蔦(波乃久里子)と、師の酒井(柳田豊)の命で別れる。酒井の娘、妙子(春本由香)には縁談が起きていた。

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