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わいせつ被害NO!

/下 家族で抱え込まず届け出を

診察室や相談室などがある子どもの権利擁護センターの内部=神奈川県伊勢原市で2月、長真一撮影

 我が子がわいせつ被害に遭ったか、遭った疑いがある場合、親はどうしたらよいのだろうか。子どもも混乱の中におり、周囲の反応によってはさらに傷つくことになる。専門家に聞いた。

     ●責めないで話聴く

     内科医でNPO法人「子ども虐待ネグレクト防止ネットワーク」理事長の山田不二子さんは「子どもを責めるような言葉は絶対に言ってはいけません」と忠告する。

     例えば、数日たってから打ち明けられた時、妊娠の恐れがあれば医療機関の受診を検討する。その際、強姦(ごうかん)や強制わいせつなどの重大な被害ほど、「なぜもっと早く言ってくれなかったの」とも思うだろう。しかし「なかなか言い出せなかった子どもの立場を思いやってください」と山田さん。恥ずかしさなどから黙っていたり、自分の身に起きたことを理解できずに悩んだりした可能性が高い。まず「よく言えたね」と言ったうえで、子どもの話に耳を傾けるべきだという。

     「逃げられなかったの?」や「嫌だと言わなかったの?」などの子どもを疑うような反応もよくない。「信じてあげることがとても大切です」(山田さん)。

     一般的に、わいせつ被害に遭った子は5段階の反応を示すという。秘密にする▽無力感を感じる▽順応する▽あいまいに開示する▽撤回する――だ。最初は被害を隠そうとする。そして「NO」と言えないことなどにつけ込まれたことに「無力感」を覚え、耐え忍んで「順応」し、打ち明けたものの周囲の反応を見て「勘違いだった」などと「撤回」し、安心させようとするのだという。「不安を受けとめて、矛盾を追及しないでください」

     ●過小評価せず共感

     親自身も「子どもを守れなかった」という自責の念から過剰に反応しがちだ。共感は大切だが、一緒に怒ったり泣いたりすると、子どもは「親を悲しませてしまった」と思い逆効果になることもある。たとえ子どもが寄り道したり、親との約束を破ったりしていても、それは落ち度ではない。

     「大したことないわよ。忘れなさい」などと被害を過小評価するのも禁物。「子どもが『怖かった』と言えば『怖かったのね』、『痛かった』と言えば『痛かったのね』と応じるぐらいで」と山田さん。子どもが泣きじゃくる場合、黙って寄り添い、子どもが話し始めるのを待とう。そして「あなたはちっとも悪くない」と伝えることが重要だ。

     話を聞いたら、次は届け出ることが大切だ。親は「公になったら子どもが傷つく」「これ以上恥ずかしい思いをさせたくない」と考えるかもしれない。だが、「家族だけで抱え込んでいては解決しない。加害者が処罰されることで被害者の心の回復が進む」といい、それを「司法ケア」と表現する専門家もいる。

     ●聞き取りは1回で

     一方で、周囲の反応次第で2次被害も想定される。警察などから被害状況を繰り返し尋ねられることは、被害者の負担も大きい。

     山田さんは、自身が今年2月に設立した「子どもの権利擁護センターかながわ」(神奈川県伊勢原市)や児童相談所、性被害の専門機関への相談を勧める。同センターでは医師の診察も受けられる。

     また、警察や児相には、プライバシーへの配慮を要請したり、多機関が連携して被害者の聞き取りを1度で済ませる「司法面接」の手法を取り入れたりするよう頼んでもいいという。

     子どもは「親だからこそ本当のことは言えない」と感じているかもしれない。そういう場合に備えて、日ごろから相談窓口の存在を伝えておくことも有効だ。「サチッコ」(大阪市)は全国から電話相談を受け付けている。匿名も可能で、必要に応じて専門機関に橋渡しをするという。

     相談員は「痴漢などはエスカレートすることもある。未然に防止するために、『いやだな。何か変だな』と感じた段階で気軽に相談してほしい」と話している。【鈴木敦子】


    主な相談・連絡先

    ・NPO法人「子ども虐待ネグレクト防止ネットワーク」

    電話0463・90・2260(月、水曜の10~13時)

    http://cmpn.childfirst.or.jp/

    ・サチッコ(SACHI子どもセンター)

    電話06・6632・0699(水~日曜の14~20時)

    http://www.sachicco-osaka.com/

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