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社説

北朝鮮核実験 国際包囲網もっと強く

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 日本の安全保障を揺るがす重大な事態が、またも北朝鮮によって引き起こされた。

 北朝鮮がきのう、同国北東部の咸鏡北道(ハムギョンプクド)吉州(キルジュ)郡豊渓里(プンゲリ)で核実験を強行した。北朝鮮は「核弾頭の威力を判定するための核実験」に成功したと主張している。

 2006年以降、5回目になる。今年は1月に続いて2回目。1年に2回の核実験は初めてで、今回の爆発規模は過去最大とみられている。

 北朝鮮は今年、中距離弾道ミサイルの「ノドン」や「ムスダン」、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)など計21発を発射してもいる。多くても年に数発だった昨年までとは比較にならないペースだ。

一段と脅威は高まった

 北朝鮮の脅威のレベルが一段と高まったと言わざるを得ない。日本としては、北朝鮮の核・ミサイル問題への対応の優先順位を引き上げなければならない。

 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、核弾頭の爆発実験と核弾頭を搭載できるミサイルの発射実験を早期に行うよう指示していた。北朝鮮の国営メディアが今年3月に報じた金委員長の指示が、相次ぐ核実験とミサイル発射につながっているとみられる。

 北朝鮮が核実験を繰り返す中で焦点となってきたのは、ミサイルに搭載する核弾頭とするための小型化である。最終的な判断はまだできないが、開発が着々と進んでいることは確かだろう。

 北朝鮮の核ミサイル保有は、周辺国すべての利益に反する。国際社会は結束し、悪夢が現実になることを防がなければならない。

 しかし、国際社会が現実にできることは限られている。

 北朝鮮に対しては既に、かつてないほど厳しい経済制裁が実施されている。日本や米国、韓国には効果的な制裁強化策はほとんど残っていない。中国は、北朝鮮の核開発には強く反対するものの、金正恩体制の崩壊までは望んでいない。

 北朝鮮は、国際社会が手詰まり状態にあることを見透かしている。3回目の核実験までは中国や米国などに事前通告を行ったが、今年に入ってからは中国にすら事前通告しなくなったようだ。

 金委員長は核開発にあたって、リビアのカダフィ政権を教訓として示唆している。カダフィ政権は米英との交渉で核開発を放棄したが、11年に起きた内戦での欧米の武力介入によって崩壊に追い込まれた。

 だから、北朝鮮としては核開発を放棄できないという理屈だ。この考えが変わらない限り、北朝鮮の核開発は止まらない。

 北朝鮮の核開発が1990年代初めに大きな問題となった時、米国は北朝鮮への武力攻撃を真剣に検討した。北朝鮮の技術水準が初歩的なものにすぎなかった当時よりも、現在の方がはるかに深刻な状況である。私たちは、それをきちんと認識しているだろうか。

 北朝鮮は既に、日本のほぼ全域を射程に収めるノドン・ミサイルを200基以上も配備している。日本は北朝鮮の乱暴な行動によって最も大きな脅威を受ける国の一つである。日本は主体的に、国際包囲網を作る外交努力を進めていかなければならない。

米中への働きかけ重要

 特に、北朝鮮への影響力を持つ中国への働きかけは重要だ。中国には国際制裁にもっと積極的に同調するよう求めていきたい。

 中国は、今年3月の国連安全保障理事会決議に基づく制裁を実施したものの、実際には北朝鮮との貿易にそれほど大きな影響が出ていないとみられている。地域の安定のため、中国に大国としての責任を果たしてもらうことが必要だ。

 さらに重要なのは、米国への働きかけである。

 北朝鮮は、核問題では米国だけを交渉相手とみなし、自らの体制の安全を保証するよう要求してきた。

 一方でオバマ政権は、北朝鮮が態度を改めるまで対応しない「戦略的忍耐」という路線を取った。

 国際社会を脅す国家に融和的な態度を見せ、安易な取引に応じるべきではない。その意味ではオバマ政権の対応は理解できるが、結果として北朝鮮の核開発を放置することになった面は否めない。

 5回の核実験のうち4回が、オバマ政権になってから行われたのである。北朝鮮の行動がエスカレートすることを阻止する行動も必要だ。

 北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発も進めている。11月の選挙で選ばれる米国の次期大統領が政権にいる間に、北朝鮮のミサイルはさらに高度なものになると予想される。米国にとっても、自国の安全を脅かす問題となるはずだ。

 日本は、利害を同じくする韓国と連携して、米国の次期政権が北朝鮮の問題に本腰を入れるよう強く求めていかなければならない。

 北朝鮮の核開発を封じ込めることは、日本外交にとって最も大きな試練だ。日本は、米韓両国との連携を改めて固め、国際的な包囲網をさらに強固なものとすることに全力を傾けるべきである。

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