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ストーリー

東電3万人余の「償い」(その1) 原発、遠い存在だった

 梅雨明けの7月末、全町避難が続く福島県浪江町の墓地は、人の背丈を超すセイタカアワダチソウに覆われていた。強い日差しに照りつけられ、草の海に分け入る作業着姿があった。避難先からお盆の墓参りに来る被災者のため、草を刈る東京電力の社員たちだ。関東一円から集められた。

 「原子力発電所を持つ会社にいながら、原発は遠い存在でした。福島に来て、目に突き刺さる光景におののきました」。千葉県内で勤務する鈴木雅尋さん(35)が言った。避難指示区域の田畑は草木に埋もれ、家屋は動物のすみかとなり、床や畳は腐った。かつてそこにあった一家だんらんの様子など想像できない。

 他者の痛みを理解するのは容易でない。福島第1原発の事故後、東電の体質はそれを露呈した。東京都内に設けられた補償相談窓口で避難中の女性がいらだっていた。一時帰宅のたびに荒れていく古里の状況を分かってくれない。「あなた、福島に行ったことあるんですか?」「ないです。航空写真を見れば分かります」。心ない無責任な言葉が被災者をより苦しめた。

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