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三浦雅士・評 『乱舞の中世−白拍子・乱拍子・猿楽』=沖本幸子・著

 (吉川弘文館・1836円)

千年前の白拍子の舞、奇跡的に復元

 白拍子といえば祇王(ぎおう)や静御前といった平安朝末期を彩った舞姫のことがまず思い浮かぶが、白拍子というのは拍子すなわちリズムの名称であって職業名ではない。リズムの名称がダンスの名称に転じ、さらにはダンサーをも指すようになったのである。だが、この白拍子、いかなる音楽であり舞踊であったのか、いまひとつよく分からない。そういうことをかつて国文学の泰斗・小西甚一が書いていて、千年前のことなのだから当然だと思ったことがあったが、本書を読んで驚いた。資料に広く当たって、じつによく復元されているからである。奇跡的に思えるほどだ。

 「乱れる中世」というのがプロローグだが、戦乱の乱れでは必ずしもない。むしろ階層の乱れ、性差の乱れ、信仰の乱れであって、つまるところ、同時代の宋代中国に起因する都市化、すなわち貨幣経済の活性化に伴う乱れであって、むしろ近世の予兆のようなものだ。この時代、今様が流行(はや)り、乱舞が流行った。以下、「乱舞の時代の幕開け」「白拍子の世界」「乱拍子の世界」「<翁>と白拍子・乱拍子」「能と白拍子・乱拍子」…

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