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社説

台風への備え 避難の判断はより早く

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 いくつもの台風が日本列島を襲っている。中でも台風10号は、気象庁の統計がある中で初めて東北の太平洋側に上陸し、岩手県を中心に甚大な被害をもたらした。この災害の教訓を今後に生かしたい。

 同県岩泉町の小本川の洪水により高齢者のグループホームで9人が逃げ遅れて亡くなった。町は全域に避難準備情報を出したものの、より切迫度の高い避難勧告や避難指示は出さなかった。気象台や県の出先機関からは、雨量や河川の水位について警戒を促す情報が届いていたが、町職員は土砂災害の対応などに追われ、生かし切れなかったようだ。

 自治体の避難指示が遅れ、被害が広がった例は過去にも繰り返されてきた。2013年に起きた伊豆大島の土石流災害、14年の広島市の土砂災害、さらに昨年の茨城県常総市の鬼怒川の氾濫など、いずれも自治体の避難指示や勧告が遅れた。

 政府は空振りを恐れずに勧告を出すように通知しているが、改めて徹底すべきだろう。

 一方、防災の最前線に立つ市町村の対応の限界を指摘する声もある。規模が小さい自治体では、防災に当たる職員の確保も容易ではない。

 県が市町村に対応を促したり、人的支援をしたりするなど支えが必要だ。また、岩泉町は洪水時の浸水域を示すハザードマップを作っていなかった。県の管理河川であり、県との密接な情報共有が欠かせない。

 台風の場合、おおまかな進路予想ができるため、時系列で災害対応の手順を決めておくタイムラインと呼ばれる避難計画作成も有効だ。国を中心に一部で始めている。都道府県や市町村でも取り組みを進めたい。

 今回の災害では、多くの命を預かる施設の責任者の姿勢も問われた。9人が亡くなったグループホームに避難計画はなく、避難訓練も実施していなかった。要援護者は、避難準備情報が出た時点で避難を始めなければならないという防災知識も欠けていた。政府は、施設責任者向けの避難情報の説明会を開くという。

 国の啓発は必要だが、「自助」なくして減災は実現しない。気象分野で「極端気象」と呼ばれる短時間の集中豪雨がいまや毎年のように全国で起きている。台風シーズンはまだ続く。いざ災害に直面した時どこに避難するのか。一人一人が準備しておきたい。

 孤立地域対策の重要性も浮き彫りになった。今回、孤立した地域数は岩手県の想定を大きく超えたという。中山間地域は日本の国土の7割を占める。孤立対策は過去にも地震や豪雪などで問題化した。最低限の食料や通信手段の確保など事前に準備できることは少なくない。総点検しておきたい。

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