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社説

沖縄振興予算 基地けん制は筋違いだ

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 2017年度予算の概算要求で、内閣府が先月末、沖縄振興予算の要求額を3210億円と発表した。前年度当初予算に比べて140億円、4・2%の大幅な減額となった。概算要求額が前年度当初予算を下回ったのは、7年ぶりだ。

     概算要求の取りまとめの過程では、菅義偉官房長官らから、基地問題と沖縄振興を絡める「リンク論」を容認する発言が相次いだ。

     菅氏は「基地負担軽減と振興策は総合的にリンクしている」と明言した。基地の移設工事が進まなければ「跡地利用の予算は少なくなっていく」と語った。鶴保庸介沖縄・北方担当相も同様の考えを示した。

     リンク論を否定してきた従来の政府方針の転換であり、看過できない。政府高官は「建前はやめて、沖縄と本音で議論しようということだ」と語ったという。

     菅氏は、リンク論を容認する一方で、米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する翁長雄志(おながたけし)知事の姿勢は影響していないとも語っている。

     だが額面通りには受け取れない。実際には、自民党内で、辺野古移設を受け入れない翁長氏への不満がたまり、振興予算の減額を求める声が高まっているとされる。沖縄で県議選や参院選が終わり、当面は大きな選挙がないことも予算減額の圧力となっているという。

     年末の予算編成では、県への約束である3000億円台は確保するが、概算要求からの大幅減額があるかもしれないと言われている。リンク論はその布石のようにも見える。

     沖縄振興の理念をもう一度、確認しておきたい。戦後27年間、米軍の施政権下に置かれた歴史的事情や、米軍基地が集中している社会的事情などの「特殊事情」を踏まえ、1972年の本土復帰以降、格差の是正や自立的発展の基礎整備をはかってきたのが、沖縄振興の考え方だ。

     沖縄振興は基地受け入れの見返りではない。振興予算を基地問題のけん制に使うのは筋違いだ。

     概算要求の減額には、沖縄振興一括交付金の減額が響いた。前年度当初予算よりも275億円少ない1338億円の要求となった。

     一括交付金は、沖縄振興のため12年度に創設された使途の自由度が高い交付金だ。沖縄県が自主的に事業計画を作り、国が交付金を出す。

     内閣府は、一括交付金を減額した理由として、繰り越しや不用額の多さも指摘している。執行率は改善方向にあるが、70%台にとどまる。事業計画を作る市町村の人手不足や、交付決定までの国と県の調整に時間がかかることが原因としてあげられている。この点は県、国ともに改善に努めてもらいたい。

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